国枝は、話そうと見せかけて銃をぬこうとした。

だが恵里は、その前に銃をぬいて国枝の銃に当てた。

国枝は、驚愕した。

「まさか、拳銃の腕まで一流とはな。

私の負けだよ。上村恵里。」

驚いたのは、恵里の側にいた二人も同じだった。

この二人よりも速く銃を撃ってみせたからだ。

こうして国枝は、語り始めた。

「組織の全ての始まりは、私の祖父が首相として絶対権力を持ったところから始まる。

そして、最大派閥を祖父はつくりあげた。

首相をやめてもこの日本を影で牛耳るフィクサーとして君臨し、私まで続いたということさ、親父の代で海外まで支配できるほどになり、私の代で病院を支配下におくことができた。

ただし、新井教授という厄介な相手がいたために苦労したがな。

それにしても、私を追いつめるのが君だとは思わなかったよ。

上村恵里、日本の医療は君に任せよう。」

こうして、国枝俊二は、警察に逮捕された。

組織は、これで潰れたが、成城大学病院までもこの結果潰れてしまった。

そして、北栄総合病院では西岡病院長が自首し、大騒ぎとなっていた。

病院長は、憎き国原に近づくためには手段を選ばなかった。

その結果、何人もの人間を殺してしまったのだ。

北栄総合病院の病院長として、国代幸一が新たな病院長となった。

幸一は、西岡に推薦されたのだ。

病院長として、ふさわしい人物として、本来なら栗原がなるべきなのだろうが世界を又にかけて医療をしている人物である以上病院長という役割は無理だった。

そして、世界的にも組織が潰れた影響で経済の影響は、大きかった。

特にアメリカは、大統領と副大統領が、逮捕される前代未聞のことが起こっただけにダメージは大きかった。

世界的に医療のダメージも、大きかった、何故ならニール大統領は、医療に世界的にも力を入れていたからだ。

そういう意味でも、ニール大統領の逮捕は大きかったのだ。

その頃、法正大学病院も本来ならダメージが大きいはずだったが、全て悪いのは、父親の国原が原因であると真田事務次官が、しくみ問題を解決させた。

これ以上、医療にダメージを与えないためである。

そして、久しぶりに恵里と文也は一風館で過ごすことになった。

和也達三人の子供達とともに。

そして、真理亜いや久子も臨月になっていた。

恵里は、真理亜の出産に立ちあった。

そこには、詩織もいた。

そして、自然出産で無事生まれてきた。

あの真理亜に、子供が生まれてきたことに、恵里は驚いていた。

あの真理亜が、母親になるということに、今までのことが走馬灯のようにうかんだ。

でも、真理亜なら本物の母親になれるだろう。

何故なら、真理亜ほど本当は優しい人物はいないのらだから。

真理亜の子供の出産を見届けた後、恵里は、美紀の墓参りに行った。

「美紀、全て終わったよ。

十年の約束だったのにあれから、十三年もかかっちゃったね。

でも約束は、やっと守れた。

私も、これからは医療のことだけを考えることができる。

でも、組織を潰したことで私は成城大学病院を潰してしまった。

その罪は、重いよね。

私は、これからどうその罪を償っていけばいいんだろうね。」

そんな時、後ろから

「罪に思う必要なんかないぞ恵里さん。」

後ろには、真田俊介がいた。

「ご無沙汰しています。俊介さん。」

「恵里さん、久しぶりだね。」

間をおいて

「君は、組織を潰すことでたくさんの人を救った。

それに美紀の意志も、達成してくれた。

君は、それだけ凄いことをしたんだ。

確かに、病院が潰れてしまったことは、辛いかもしれないが、これからは新しい医療を目指さなきゃいけない。

形あるものは、壊れるものだ。

だが、それ以上のものをつくり出せばいい。

親父が、恵里さんに来てほしいそうだ。

新しくできる病院の、病院長になってもらいたいそうだ。

理想の医療を実現するためにな。」

恵里は、驚いた顔で

「新しい病院ですか?」

「そうだ。この病院は、亡き新井教授が、夢見てた病院だ。

その病院が、ようやく完成する。

新井教授の弟子として、君ほどの適任はいないからね。」

そして、真田事務次官に二人で会いにいき、真田は、恵里を新しい病院に案内した。

そこは、セイント・ラグナロク病院よりも凄い病院だった。

海外から、優秀な医者がたくさんこの病院にやってきていた。

この病院は、まさに患者のための理想の病院だった。