今日は、輝一のコンクールの日だった。

輝一は、桜子と達彦とともに東京のコンクールに行き

そして、圧倒的な実力の差で優勝した。

ここに西園寺の姿が、あった。

西園寺は、「おそらく輝一君は、もうすでに腕だけならプロ級ですね。

輝一君を、留学させる気はありませんか?

私が、推薦すればすぐにでも入学できます。」

西園寺は言った。

達彦は、「先生、少しだけ考えさせて下さい。」

桜子達は、マロニエ荘に行った。

そして、同じく悩みを抱える冬吾達と相談することにした。

笛子は、

「亨も輝一ちゃんも留学させましょう。

二人共、これほど素晴らしいピアノの才能があるんだもの。

輝一ちゃんを、私が預かってもいいしね。」

桜子は、「笛姉ちゃん、それは駄目だよ。

もし輝一を留学させるなら、私が輝一について行くかそれ相応の年にならなきゃ駄目、それにまだ輝一は8才だよ、留学なんて早すぎる!」

冬吾は、

「桜ちゃんには、山長の跡継ぎのことと、輝美ちゃんの問題がある以上そう簡単には決められないべ。」

輝一が、海外でピアニストを目指すということはすなわち輝美の人生を縛ることにもなるのだ。

そんな難しい問題を、そんなに簡単に決めれるわけがなかった。

しかし、輝美がたまたま起きてきて輝美は言った。

「お兄ちゃんが、世界一のピアニストになる姿を輝美も見たい。

山長なら、輝美が継ぐよ。だって山長でパパとママが頑張ってるところ輝美見てるもん。

お兄ちゃんは、天才何だよ。」

ここにいる誰もが、沈黙した。

そして、ここにいる全員が、さすがは桜子の娘だと感じた。

達彦は、言った。

「桜子、君は輝一を連れてフランスに行ってくれ。

そして、輝一だけじゃなく君にも世界に羽ばたいてほしい。

前にも言ったが、君は俺の夢だ。

だからこそ、俺のためにも実現させてほしい。」

この言葉で、桜子も冬吾も来年輝一と亨を入学させることに決まった。

入学まで桜子も、含めて語学の勉強に明け暮れたのだ。