Happy baby ~月光の果て編~
というセリフを吐きつつ、彼女らのテーブルに
すべりこむ、オレ・・・
一瞬身構える彼女たちを尻目に、
俺はさっき共有した空間について語り始めた・・・
そう、今回佐藤を通じて彼女たちにアプローチしたのは
この「非日常の空間の共有」が最大の目的であった。
よく聞く事だが、例えば、エレベーターに閉じ込められた
男女二人・・・
はたまた、big プロジェクトを殺人的なスケジュールで
こなした上司と部下・・・
また、入院先の病院で、献身的に看護してくれる、
患者と看護婦。もしくは、医師・・・
人は、非日常なショッキングな空間を共有する事で、
互いに同志なり、良き理解者としてお互いを認識しだす、
と、ものの本で聞いたことがある。
いきなり今回のような事態に巻き込まれた彼女たち・・・
しかし、結果的には佐藤が100万ペソの喜びの笑顔を
導き出したその結果は、同じ目的に向かって僅かな瞬間を
駆け抜けた者として、立派な「非日常の空間の共有」を成立
させているのである。
わかり易く言えば、俺が彼女たちのテーブルにすべりこんだ
時点で、プリティ打ち上げが始まっているのであり、
それがなけりゃ、このテーブルにつく事など不可能
だったのだ。
流れとしては、至極自然である・・・
でも、ソコの昼下がりの奥さん!
馬鹿言っちゃいけないよっ!
俺が、大統領ばりに超忙しくなるのはこれからなんだからっ!
そう、テーブルにオレがついた瞬間から、4人の女の子が
飽きないように全方向に配慮しつつ、彼女たちの全リアクション
に気を配りながら会話をすすめると共に、この中のボスキャラ、
つまり、リーダー的存在の女の子を探し当てなければならない。
人数が4人だけに、ひとりでも、「ツマんな~い」とか言い出したら、
他が乗り気でも、即OUT! 更に、ボスキャラには1オクターブ
高いノリノリ気分を持たせなきゃ、他のマイナス意見を
潰し飲み込めないのである・・・
推定24~26歳とおぼしきこのメンツ。
果たしてボスキャラは、オレの横にいる
毛蟹とロシア人を足して、いぢわる姑の悔し涙を
飲ませたような女か、
あたかも、
伝説の銘ゲーム、「ストリートファイターⅡ」
のブランカのような髪型をしている女か、
さては、トイメンに座る
確実にいちご大福を毎朝食ごとに食べるような
小太りの女か?
いや、そうなのか?
ラマのような、地味な草食動物にありがちな
目をした、100%に近い確率で、
NANAを読んでるような、逆フルボディな
女なのか・・・
オレのチャクラはひらきっぱなーしで、
彼女たちと話しつつも観察していた・・・
「ごめ~ん、遅くなっちゃった・・・」などという
能天気なセリフが背後から聞こえたと思ったら
なんと今度は、5番目の女登場。
(オレを殺す気かよ・・・イチゴジャムのような甘さで・・・)
ホットパンツをはかせたらアジア地区で
8億2000位ぐらいにランクされるだろう、米国留学
帰りの女の子だった・・・
(つーか、一瞬でも彼女たちの目からオレの視線が
外れればOUTになってしまうこの状況は、
もう限界だっつーの!
おまいら、そろそろ援護射撃を・・・)
と、背後の男たちにアイコンタクトしようと、少し振り返ると、
まず恋の仮免男が、自宅リビングでくつろぐかの様に、
超リラックス・・・
おまけに、仮眠してるし・・・
・・・今この瞬間に、仮眠が必要な理由を
1000文字以内で提出して下さい・・・
半分に破って、最上川あたりに流すから・・・
更に同僚Wに至っては、机の向こうにいるものの
そこから絡もうとするのだが、既に満席状態の
店内では声が、聞こえない、届かない・・・
・・・いやオレは知っている。
やつは、その机を越えてこっちにくる事が、
自分憲法の中では最も恥ずかしい行為だと
思っているのだ・・・
一言だけ言う・・・
馬鹿になれ。
つーかこの瞬間だけでも・・・
そしてそのつまんないヤングジャイアンツのような
プライドをさっさと捨てなっ!
こっちはもう、抑え切れないんだYO!
・・・・・・・・・・・・。
プロポーズ出来ない男が、いないんだけど、
どこいったの???
そーいや、さっきからいねーなぁー
もう20分くらいたつなぁ・・・
プロポーズ出来ない男、失踪・・・・
そんな、ひとり相撲のような状況を再確認した、オレは
飲むしかなかった・・・
そして角玉梅酒をロックで4杯飲んだところで、遠ざかる意識・・・
そして、ネロとパトラッシュのように、召されるオレ・・・
ふと、気がつくと女の子達はとっくの昔に帰っており、
取り残される、男三人・・・
会計をすまし、外に出ると、月光にこうこうと照らされ
プロポーズ出来ない男が、夜露に濡れそぼって
寝ていた・・・
京都あたりに、ひとり旅に出たくなった・・・
Fin







