撮影日   2019.10.17

撮影場所 熊本市交通局田崎線 田崎橋電停  (1枚目は幹線 辛島町電停)

       ※フラッシュ未使用で撮影

 

今回は長年乗りたかった熊本市電5000型に先日遂に乗車した為、そのことについて

記事にします。

 

熊本市電5000型は1976年から西日本鉄道福岡市内線から4本が移籍した2車体連接車です。

オイルショック後の輸送力増強目的で導入され、投入年代に因み5000型となりました。

熊本市電初の連接車となります。

 

西鉄福岡市内線1000形は1954年と1959年に15編成が導入された形式です。

西鉄軌道線の連接車1000系列は福岡及び北九州線に導入されましたが、車体は似ていても

足回りや性能が異なっていました。

福岡市内線は1954年から1964年にかけて1000・1100・1200・1300形が合計35編成、北九州市内線は

1953年から1967年にかけ64編成(内7本は3連接車)が導入されています。

福岡向けは1000・1100形は中空軸平行カルダン、増備の1200・1300形は吊掛け駆動で37.3KW(1300形は

45KW)、北九州向けは吊掛け駆動で45KWの違いが有ります。

更にこの1000系列の車体は初期車は半鋼製、途中から全鋼(全金属)製になり後期ではアルミサッシが

導入され、台車も複数の方式が採用されています。

車体仕様も両市内線で異なり増備途中での改良も加えられています。製造メーカーも川崎車輛・汽車製造

会社・日立製造所・帝國車輛・近畿車両・日本車輛・九州車両が製造しています。

※汽車は福岡向けのみ、帝車・近車・日車・九州は北九州向けのみ。

 

因みに両線向けで車番重複が多数存在し、又大牟田線の1000系や福岡市内線・福島線の電動貨車1000形

とも重複していました。

両線合わせ89編成も存在し、日本一の連接車を保有していて高度経済期の市内輸送を支えましたが、

現在西鉄の路面電車が全廃された事により今は子会社の筑豊電鉄に移籍した車両(現 2000形3連接車

1本のみ)を除き西鉄の線路からは消えています。

福岡市内線1000形も1975年の福岡市内線第一次路線廃止で全車引退し、その内1957年製の後期型

4本が移籍しました。

車番は5010・5011・5014・5015と原番号を活かしています。

 

入線後は1980年に早くも冷房化され、1993年までに全車菱枠パンタからZパンタに交換されています。

塗色は各編成とも何回も変更されていますが、2002年に5014編成が福岡時代の物に復元され現存

しています。 

長くラッシュ時の助っ人として活躍しましたが、1999年にまず5010編成が、2009年に5011・5015編成が

廃車され1本のみになりました。

その頃から5014編成も休車が続いていましたが、輸送力増強の為奇跡的に復活が決まり西鉄の

協力の元2017年に復活し営業を再開しています。

※近年9700型9701~9703の休車が続いている事も影響していると思われます。9701は先日復活し

機器更新や白色LED化を受け復活したのを目撃しています(未撮影)が、9702・9703はこの撮影の

際も上熊本で休車中でした。

 

復活の際に車内更新や足回り類の更新を受けたそうで、今後も当分活躍が見込まれます。

但し・・・相変わらずラッシュ時やイベント時の運用がメインで、中々お目にかからない車両です。

私が熊本にいた頃(2000年代中頃)もラッシュ時の運用が僅かにあるだけでしたが、今も平日朝夕に

数往復するだけ(他車の運用の場合もあるらしい)です。

私も以前撮影に失敗し、上熊本で休んでいる姿を恨めしく見ていたものでしたが今回遂に撮影

出来ました!遂に15年かけて念願が叶いました!

尚今回は夕方の撮影ですがフラッシュ未使用の為、画像が粗い事をご了承下さい。

 

(一枚目)

・夕刻の辛島町電停で待っていると・・・A系統の看板と「田崎橋」の行先を掲げた5014編成が

滑り込んできました!系統板の下は使えるICカードの表示です。

 

単車では満員でも連接車なら余裕が有ります。

尚熊本移籍グループは福岡市内線1000形でも後期型の為全て全鋼製で鋼製ドアです。

(二枚目)

・しばし揺られ終点の田崎橋までやって来ました。これからはここでの写真です。

 

全体写真です。茶色系ツートンカラーの昔の西鉄カラーで、懐かしいイメージです。

西鉄軌道線用の1000系列は傾斜が付いた前面に丸みを帯びた側面、ノーシルノーヘッダー

車体にバス窓と優雅で近代的なスタイルが特徴です。

バス窓は西鉄の路面電車の特徴ですが、全体的に他の都市では見られない個性的な

スタイルです。

 

尚前述の様にこの車両はカルダン駆動車です。よって走行音は大変静かで近年の

軽快電車にも劣りません。揺れも比較的少なく、たまにコンプレッサーが唸る程度です。

路面電車でのカルダン駆動の採用は1953年の都営5500形(軌道線)にWNドライブ及び直角

カルダン駆動が導入されたのが初で、以後1960年代に向け大都市の路面電車で採用され

ました。所謂「PCCカー」ですが、モータリーゼーションの進捗に伴い路線廃止が進むと

使い勝手が悪いとされ早期に廃車が進みました。

現在昭和30年代の路面電車でカルダン駆動で現存しているのはこの5014編成(路面電車用

として初の中空軸カルダン駆動車)と阪堺501形5両だけです。

余り「PCCカー」と言われる事が少ない様に思えますが、日本の路面電車だけでなく鉄道車両

全体においても発展段階の技術を残している貴重な存在と言えます。

(三枚目)

・パンタグラフ付のA車側面です。

 

窓枠は鋼製で塗装されています。

側面行先表示器は窓枠の中に小型の物が設置されています。

復活時に設置されたのか、以前の写真ではドア脇に大型のサボが設置されていました。

(四枚目)

・冷房付のB車側面です。

 

冷房装置はB車に設置し、風洞でA車に送られる構造です。

こちらの側面にはサボが設置されていますが、ウイキペディア掲載の5015の写真では

ドア脇でも運転台側設置だった為、移設されたか車両毎に違ったのかも知れません。

(五枚目)

・A車連結面には銘板が付いていました。

 

多分重量と定員と思いますが・・・読み取れませんでした。

(六枚目)

・B車連結面側には紋章が有ります。

 

ところでこの紋章・・・。どこの紋章か良く分かりませんでした。

熊本市交通局の市章は以前市営バスに描かれていたCをデザインした物の筈です。

しかし西鉄にこんな紋章が有ったのか?

 

次回に続きます。

 

参考文献 鉄道ピクトリアル NO.847 2011.4 臨時増刊号【特集】西日本鉄道

参考HP  ウイキペディア 熊本市交通局関連ページ