先月号の東京医師歯科医師協働組合からの月刊誌

「医歯協MATE」に

「サルコペニアのバイオマーカーとしての可能性

あらためて知りたいビタミンDの底力」

という特集記事が載っていた。

 

コロナ以降、わたしにとっては、内科的にも皮膚科的にも整形外科的にも、

ビタミンDは注目の的となっている。実際に外来診療的には

喘息や花粉症、湿疹やアトピーや乾癬に有効。

 

ようやくTVやネットで、日本人の慢性的ビタミンD不足が報道され始めた。

しかしながら、一般医師にとってはまだまだ・・・。周知されてない。

 

その例を挙げると、

①    ビタミンDの血中濃度を測ってみないと、補充の指導ができないので、当然サプリメント開始前に測定が必要。

服用継続したら、OVERになっていないか? 至適濃度か? カルシウムは上がりすぎてないか?

をチェックのため、半年以内に採血をしたいのは当然である。

にもかかわらず、保険診療上この検査を「検査過剰」と査定して来るレセプト審査のアホ医者がいる。

②    ビタミンDといえば、もともと骨。 整形外科医の処方があっても、内科医や皮膚科医は全く興味無しだった。

ところが、ビタミンD老舗の整形外科医が処方する保険診療にて認められた量は0.5-1.0μg/日(1μ=40 IU国際単位)※。

しかしこの量を毎日服用している患者さんのビタミンD血中濃度を測ってみても、基準値である30ng/mlを超えている人はほとんどいない。

がん免疫予防の観点から言うと、ハーバードの25000人以上の乳がん患者のビタミンD値の論文では、血中濃度50-60ng/mlが望ましいという、

日本整形外科医の処方量はハナクソほどに過ぎない。

 

※ちなみにFANCLやDHCのビタミンDは一粒1000国際単位なので、 整形外科医の処方の25-50粒分となる。

私が外来にて 喘息や花粉症、皮膚炎患者にお奨めしているビタミンD自費サプリの量は5000国際単位(廉価なのは一か月300円~高価なのは一か月4000円)。

この量でも通常血中カルシウム濃度は不変。(但し尿中カルシウムは測定していない:そこまでやると完全に保険診療外になる)

 

今回の記事の細山徹氏は、国立長寿医療研究センターの運動器疾患研究部の副部長。

医師ではなく、サルコペニア・フレイル、高齢者筋肉の研究者である。

これまでのビタミンDの効果=骨以外にがんやコロナ重症化の予防、喘息や花粉症などへの抗アレルギー、糖尿病の改善、として近年注目されているが、

今回は、筋肉細胞の分化・増殖、筋力維持にも不可欠であることが分かった。

まさにビタミンDの多面的効果である。

 

ビタミンDはBやCと異なって脂溶性なので、過剰摂取はビタミンD中毒につながる。

高カルシウム血症は尿路へのカルシウムOVER FLOWを招き、腎結石・尿管結石になり得る。

 

従って、定期的血中濃度の測定に基づいた安定服用が大切となる。

至適濃度は ガンの予防の為には50-60ng/mlの維持である。

 

健康管理には必須となりつつあるビタミンD。

はやくルチーン検査で採血保険適応となることを願う。

コロナワクチンなどに大枚のカネつぎ込むよりよほど医療経済的だと思うのだが・・・。

年一回ではなんか心もとない。