錦織選手の快挙について。

2014年9月8日、錦織圭選手が全米オープンで準優勝しました。日本人初。賞金145万ドル(約1億5400万円)を獲得、本大会の結果を受けて錦織選手の世界ランクは11位から8位に上昇しました。

日本人の若者が世界的な大会で準優勝!喜び以外の何もないニュースだと思います。
が、フリーアナウンサーの長谷川豊氏が、そうでもないないぞとブログを書いて話題になりました。

2014年09月08日 錦織選手報道に感じる違和感
http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/40077565.html

 要約すると、錦織選手は中学時代にアメリカに渡ってフロリダ州のIMGアカデミーという養成学校でトレーニングを積んで今に至ったと。錦織選手が全米オープンで準優勝できるトッププロに育ったのはアメリカのおかげだと。国籍が日本というだけで、テニスのキャリアをほぼアメリカで過ごしているので、「日本人が~」「日本人初めての快挙で~」等という意見に違和感を感じる、と言う事です。
長谷川氏の中に「日本の環境では世界的な選手が育たない。」という絶望があるようです。

 この長谷川氏のブログについて賛否両論あるようです。そもそも「違和感を感じる。」という意見に対して、賛成も反対もありません。違和感を感じるのは個人の自由ですから。
なので、僕は長谷川氏が「違和感を感じる」事については賛成も反対もないのですが、この長谷川氏について思った事があります。彼は、二つの問題について混同しているというか、混乱している所があります。

 ①日本人の錦織選手が素晴らしい偉業を成し遂げた。
 ②アメリカの育成環境は素晴らしい。(日本の育成環境は劣悪だ。)

 この2点は全く別物です。なので①を肯定したから②を否定することにはなりません。①もYESで、②もYESでいいんです。誰も②を否定していません。
しかし長谷川氏は①を肯定する事によって②が否定されていると感じているようです。これが「違和感」の正体だと思います。

 変な発想ですね。日本は素晴らしい。アメリカも素晴らしい。でいいのに、片方をほめると、もう片方をけなしているように感じてしまうのか。

 あるいは長谷川氏は②が知られないまま①だけがニュースとして拡散すると、錦織選手が日本で育ったと誤解する人が増えるのではないかと危惧しているのかもしれません。

 これも変な話です。日本の育成環境が素晴らしいと勘違いする日本人が居たとして、何が問題なんでしょう?
 テニスやスポーツの関係者の中では、IMGアカデミーが素晴らしい育成機関で、錦織選手はそこの出身者であることは当然知ってます。彼らがIMGアカデミーのやり方を参考にして日本の育成環境を良くする努力をするでしょう。
 でもテニスの関係者でも何でもない僕たち一般の日本人は、それは重要な情報ではありません。錦織選手に強い興味を持った人が、より詳しい情報を求めた時に初めて知れば十分です。一般の日本人は単純に日本人の錦織選手が全米オープンに準優勝したことを喜んでいれば十分なのです。

 長谷川氏は、これのことを「マスコミの偏向報道だ!」と感じているのかもしれませんが、一般的な日本人にとって②は重要ではないし、知っておく必要はありません。なので公平な目で見れば、日本のマスコミが力を入れて報道しないのは当たり前のことです。
 もちろん、情報①を「錦織選手を育成した日本の環境が素晴らしい」と報道したら、それは嘘ですから、公平のためには訂正しなければならないと思いますが、そんな報道はありません。

 長谷川氏の感覚は「一般的な日本人」の感覚とかけ離れているようです。これはグローバルな視点だと言えなくもないですが、単に日本が嫌いなだけじゃないの?とも思います。こういう感覚をグローバルとは言えないんじゃないかな、と。

 逆の立場で考えてみます。
 例えば柔道は日本のお家芸で、日本には金メダリストを多数排出した優れた柔道の道場があります。その道場にアメリカの中学生が入門し、24歳で金メダルと取ったとします。
 その時日本人が「彼は国籍こそアメリカだけど日本の道場で育ったからアメリカ人が騒ぐのには違和感を感じますね。」なんて言ったらどうでしょう。

 痛い人ですね。

 逆の立場で、その2。
 もしアメリカ人が「ニシコリは国籍こそ日本だが、アメリカが育てたから、日本人が騒ぐのには違和感を感じるね。」なんて言ったらどうでしょう。

 痛いアメリカ人ですね。てかアメリカ人はそんなこと言わないでしょう。彼らはグローバルに物を考えているから。

 僕は最初の方で長谷川氏について賛成も反対もないと書きましたが、結果として「痛い人だ。」と言ってしまいましたが、長谷川氏は好きで痛い人をやっていることについて、僕が反対したり賛成することはありません。