政府は14日、2015年夏の世界文化遺産の登録を目指し、ユネスコに「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡、長崎、鹿児島など8県)を推薦する方針を固めたそうです。軍艦島(正式名「端島(はしま)」長崎市)や三池港(福岡県大牟田市)など、日本の工業化と高度成長を支えた炭鉱、製鉄、造船などの関連資産28件で構成されています。

 ところで、国内ではもう一件「長崎の教会群」も世界文化遺産の候補地に名乗りを上げていました。日本へのキリスト教の伝来から信仰が深まる経緯、さらに禁教から復活までの流れを示す資産で、大浦天主堂(長崎市)などの教会、「島原の乱」の舞台となった原城跡、平戸島や天草の崎津集落など13件で構成されています。

 両案件を抱える長崎県と長崎市は「教会群」の推薦を優先するよう求めていましたが、政府は「産業革命」を選択しました。「教会群」は江戸時代で「産業革命」は明治時代ということで、順番から言うと「教会群」でしょう、というのが地元の人たちの声のようです。

 実は、国として世界遺産に推薦する対象は「文化財指定されていること」という規制があったのですが、その規制が去年5月に緩和されました。文化財指定されていなくても価値があると認められた物は推薦するということです。
 その念頭には、現在も稼働中の新日本製鉄八幡製鉄所(北九州市)がありました。つまり、この改正によって今回「産業革命遺産」が世界遺産に推薦できるようになったという筋書きが、去年からあったのです。

 教会群の世界遺産登録を目指していた人たちには気の毒な話です。しかし、八幡製作所の人たちのロピー活動は去年のずっと前から始まっていたようです。

政府、世界遺産への推薦手続きを緩和 稼働中の産業遺産で 2012/5/25 21:56
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2501I_V20C12A5PP8000/

「明治日本の産業革命遺産」世界遺産に推薦決定 2013/9/17 12:37
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17026_X10C13A9CC0000/