僕は石崎佑一郎 (いしざき ゆういちろう)31歳

毎日 目の前の仕事をこなすのに精いっぱいで 余裕が無い

普通のサラリーマン

しばらく彼女も居ない

会社とアパートの往復でかわり映えのしない毎日を送っていた

 

実は職場で気になっている女性がいる

福田 理絵(ふくだ りえ)30歳

時々仕事の話をするくらい

彼がいるのかもわからない

プライベートな事は話さないから

でも彼がいるんだろうな きっと。。

 

 

その日もいつものように残業を終えて 運転をしていたら

9時過ぎ頃だったかな

遠くの山が一瞬 白く光り輝いているのが見えた

閃光という感じだった

稲妻かなと思ったけれど 空を見ると星がたくさん出ているし 月も綺麗だった

遠くに雨雲でもあるのかな

そんな事を思いながら 特に気にもせず 疲れた身体で家路を急いだ

帰ってから一人で夕飯を作り ビールを飲んで 風呂に入って

そろそろ眠くなって 寝る その日もいつもと同じ夜だった

 

次の日 出勤の途中に おかしな現象に遭遇した

いつもの交差点を通り過ぎようとした時

一瞬身体が軽くなるような感覚になった

運転していると無重力状態になるような

気を付けないと 身体が宙に浮いてしまう

そんな感じだった

 

交差点を通り過ぎてしまうと 特に変わった事も無い

その日も仕事を終えていつものように帰宅

そして

次の朝 その交差点を通り過ぎると

やっぱり身体が軽くなる

次の日の朝も軽くなる

あの場所だけ おかしい

 

金曜日の朝

意を決して その交差点を通り過ぎる時 

流れに任せようと思った

意識を集中しないで 自然に身体を任せよう

 

そしてその交差点を通り過ぎた時

思いもよらない事が起こった

 

自分の身体がそのまま宙に浮いてしまった

運転している自分の姿を上から見ているもう一人の自分がいる

10メートル位浮いて

変な感じだったけど なぜか安定している

よく見ると自分の頭とおへその部分に白く細長い太いひもが

もう一人の自分と繋がっている

 

もし自分が死んでしまったらこんな光景なのかもしれない

死んでしまった自分を真上から見ている

でも今はもう一人の自分が普通に日常の中で生活している

 

慣れてくると自分自身に戻ったり離脱するのが簡単になってくる

普段は自分の中に自分が入っているけど(変な表現だけど)

自分から離脱しようと思うと簡単に抜けられる

 

あの山の閃光をみてから こんな能力が身についてしまった

でも油断をすると。。

外を歩いているとき 自分から抜けると よその家に入ってしまう事がある

離脱した自分は建物の中を簡単に通り抜けてしまう

30メートル位離れていても安定して繋がっていられる

もう一人の自分がかなり広範囲に動けてしまう

 

だからうっかりすると人の家の中に入って

その家族の団らんの中に入ってしまいそうになる

もし見つかって泥棒に間違われてしまったら大変

この能力は決して悪用してはいけないと思った

そして誰にも言ってはいけない

こんな事を言うと気が狂ったのか?と思われてしまうから

 

 

そんなある日 職場の廊下を歩いている時 だれも居ないし離脱しようと

自分から抜け出してみた

前を歩く自分を後ろから見てみた

もっとしゃっきっと歩けよ

そんな事を言いたくなった

そして廊下の角を曲がる時に隣をみたら

あの気になる理絵さんがいた

友達と一緒だった

前の自分が通り過ぎて

後ろからもう一人の自分がついて行っている時

理絵さんが友達と話している内容が聞こえてきた

 

「佑一郎さんって彼女いるのかな?」

「実はずっと気になっているの」

 

 

その言葉を聞いたとき 嬉しくて卒倒しそうになった

あの理絵さんが自分の事を気にしてくれている

 

もっと話を聞きたいと思ったけれど

前を歩いている自分がそのまま歩いて行ったから

ついて行くしかなかった

次 機会があったら理絵さんの近くに行ってもっと会話を聞いてみたい

この能力をちょっと悪用したいと思った

 

一人でこの離脱する能力を楽しんで 数週間が過ぎて行った

その間 残念ながら理絵さんと遭遇することは無かった

 

今日も残業だった 疲れた身体で今日も家路を急いでいる

疲れて離脱する気力も起こらない

 

帰っている時

9時過ぎだった

遠くの山で閃光が見えた

あの時にみた場所と同じ方角

そして同じ道路

そこは朝 最初に身体が軽くなった交差点だった

 

同じ場所で再び閃光を見てしまった

 

そしたら次の日からいくら離脱しようと思っても出来なくなった

あの交差点で出勤の時に身体を浮かそうと思っても

何も変化は起こらない

何回も試したけど

自分の体から離脱する事が出来なくなった

 

能力が失われてしまった

あの閃光を再び見てしまってからは

 

少しの間だけでも幽体離脱が出来たことに感謝しなければ

 

特殊な能力はもう使えなくなった

 

 

山が光る原因をいろいろ調べてみた

 

なんらかの圧力が巨大な岩にかかると

大量の正電荷と負電荷が発生し

その電荷は結合して一種のプラズマのような状態になり

猛スピードで移動し、地表ではじけて空中放電を起こす

これが色鮮やかな光の正体となるらしい

 

あの時に見た閃光はこれが原因だったのかも

ではなぜ身体からの離脱が可能になったのか

 

人間の肉体と魂はミクロの世界で見ると特殊な電磁波の相互作用で繋がっていて

健康な人間は簡単に離れることは無い

プラズマから放たれた電子が身体の中を電流として流れ

正と負の電荷が身体と魂が結合している部分に影響を及ぼした

プラズマからの電子が大量に帯電している場所がこの交差点

自分の波動と交差点付近に溜まっているプラズマ電子の波動が重なり

離脱しやすい身体になってしまった

そして自分の意志で幽体離脱をコントロール出来るようになった

 

そして再度閃光を見てしまった事で 再びプラズマが発生し身体に電流が流れ

元通りの強い結合となり

もう自分の意志で幽体離脱は出来なくなってしまった

 

それが自分なりに出した答えだった

 

プラズマとは温度が上昇すると 物質は固体から液体に,液体から気体にと状態が変化するが 気体の温度が上昇すると気体の分子は解離して原子になり,さらに温度が 上昇すると原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れて,正イオンと電 子に分かれる この現象を電離と呼び 電離によって生じ た荷電粒子を含む気体をプラズマと呼ぶ

 

 

 

もう能力が無くなったので

明日からは普通の自分になる

仕方がない

 

でも今回の不思議な能力のおかげで

 

理絵さんが自分に興味を持ってくれている事が分かった

 

 

今度 廊下ですれ違った時に

 

食事に誘ってみようと思う

 

 

 

 

 

【FRANCE WISTFUL ELECTRONIC DANCE】

Muriel Dacq - Tropique (1985)

Bass – Paul Bernard
Design  – Pierre Paul Sauvage, Serge Sauvage
Engineer – Luc Tytgat
Guitar  – Roland Carette
Keyboards, Drums – Axel de Kirianov
Saxophone, Clarinet – Léon Jacquot
Trumpet  – Hugues Gillard
Vocals  – Eric Desclée
Vocals, Piano, Synthesizer – Muriel Dacq
Written-By – Axel de Kirianov, Muriel Desclée

ミューリエル・ダク

ベルギー(ワロン)のシンガーソングライター、フランスで1980年代に活動

最大のヒットは、「Tropique」 フランスのチャートで6位

 

マンマミーア(mamma mia)はイタリア語で、直訳すると「おれの母ちゃん」だが、「なんてこった」 という意味で使われている。 英語の「oh my God」と同じ。