最初に二人で行った場所は湖畔だったと思う
あずまやの近くにあるベンチに腰掛けて
年齢に似合わない 胸元が大きく開いた服を着ていた
彼女には沢山のコンプレックスがあると言っていた
細くしなやかで カラーをしていないのに茶色の髪の毛
化粧をしても大人の雰囲気が出せない童顔
150センチの身長
それでいて少し気が強い
自分が嫌だと思っている所は
相手にとって魅力的に見える
不思議なものだ
遠い夏に出会った恋
なかなか会えなかったけど
初めて二人で遠出した時は
大きなバッグにドライヤーとパジャマ
シャンプーからボディーソープまで
一週間の修学旅行に行くのかと思うくらい
一式を詰め込んでいた
異性と初めて旅行に行くと言っていた
助手席に座って
見えてくる景色 全てにはしゃいでいた
深夜にベッドから落ちそうになって
助けを求められ
どんな寝相をしてるんだと笑いながら手を引っ張ってあげたり
話し方はのんびりだけど
頭のいい人だった
たしか医療の道に進んだと思う
それで県外に行ってしまって
それがきっかけで別れることになった
ひょっとしたら今もどこかの病院で働いているかもしれない
健康診断で
背が低くて色白で
年の割に幼い顔だち
首筋にホクロがある人がいたら
多分その人かもしれない
もう覚えていないと思うけど
BARBEE BOYS - Chibi (1989)