ティルマン・リーメンシュナイダーの《聖血祭壇》 / 薩摩雅登著より。同時代の最後の晩餐の例。シュヴェーヴィッシュ・ハルの聖ミカエル聖堂の《聖ミカエル祭壇》のプレデッラ。16世紀初頭の作品。群像構成にリーメンシュナイダーの聖血祭壇の影響が見られるので1505年以後ではとのこと。(p344)

St. Michael Altar in St. Michael in Schwaebisch Hall Germany　photo by Itelchan

CC-BY-SA-3.0

St. Michael in Schwäbisch Hall, Predella in der Sakristei (注1)

もうひとつ同じ聖ミカエル聖堂の《聖霊降臨祭壇》のプレデッラ、この祭壇そのものがリーメンシュナイダーの弟子系列の作品とのこと。

Holy Spirit Altar in St. Michael in Schwaebisch Hall Germany　

photo by Itelchan CC-BY-SA-3.0

Predella mit einer Abendmahlsdarstellung(注2)

(注1と注2　注3)　著者不明 - オイゲン・グラッドマン:シュヴァイッシュ・ハルのシュタットとオーバーアムテス・ハルのクメンクマーレ、エスリンゲン、1907年、p.22

以下私見。どちらもプレデッラだが、リーメンシュナイダー風なのが、どこなのか見つけるのが難しい。　強いて言えば使徒たちを横並びにすれば，こうなるだろうか？　特にミカエル祭壇の方はそのように見えなくもない。そして二つを比べればこちらの方が優れている。

　聖霊降臨祭壇の方は弟子筋ということだが、プレデッラはかなり技量が劣る感じだ。とはいえ両方とも、左と右でそれぞれなんとなく使徒のグループが分かれている、キリストとユダの身振りが聖血祭壇に似ている(ただし両方とも反転しているが)、ユダの椅子がなく立ちあがっている。などの共通点はありそう。

聖霊降臨祭壇の中央部分は以下の図。

St. Michael in Schwäbisch Hall, Altarretabel des Altarschreins mit der Ausgießung des hl. Geistes. Maria (Mitte) umgeben von 15 Jüngern gekrönt mit Feuerzungen　(注３)

この部分を見ると、確かにリーメンシュナイダー風という感じはする。顔、髪形、ドレイパリー、全体の雰囲気。プレデッラは弟子のさらに弟子の制作だろうか。そして彩色がモノクロームに見える。それも師の影響かもしれない。

聖ミカエル聖堂のプレデッラ《最後の晩餐》