北方近世美術叢書 Ⅵ 『天国と地獄、あるいは至福と奈落 ネーデルラント美術の光と闇』(2021,ありな書房),を読んでいる。シモン・マルミオンの作品に影響を与えたかもしれないとして、カトリーヌ・ド・クレーヴの時禱書が挙げられた。

 そこから少しの寄り道。この書物はちょっと不思議な図像がある。

地獄の口 から天使が魂を助け出してくれるところ。この地獄の目がまるでコミック!

聖アンブロシウス

聖アンブロシウスとは4世紀のミラノ司教。しかしこの周りをとりまくカニとムール貝は特に彼を表わすものではないそうである。何とも不思議。

聖ラウレンティウス

焼き網で焼かれて殉教したという聖ラウレンティウス。まさか焼き網からの連想ではあるまいね? この周りの魚たちは!

 

タイトルは歌う天使たち。それは良かろう、良くある題材である。しかしこの周りの『豆』はいったい何? 金色の豆?

と言った具合に、ちょっと不思議な世界。

もう一枚、この聖人は誰だろうか?

 聖マリア・マグダレナ

私は、始めこの周りの模様をてっきり白鳥かと思ってしまったのだが、説明文(John

 Plummer)を読むと,これはラテン語で書かれた巻物と天使だと言う!

まだまだ他にもこのような驚くような楽しい挿絵があるのだが、とりあえずここまでに。

 

意味よりもデザインが優先された絵と言ったら言い過ぎだろうか。描いたが画家の名前は、残念ながら不明。