二度目のハプスグルグ展で気になったのは,レンブラントの「使徒パウロ」。135×111とかなり大きな作品である。

前回はベラスケスのマルガリータを見たあたりで頭も目も飽和してしまったので,その後はあまり印象に残らなかったのだが,このパウロのなんとも物思わしげな表情がとても気になって行きつ戻りつした。モデルは誰なんだろう? 髭や紙のめくれ上がった感じを見るととても丁寧に描いているし暗い色調も描き分けている。パウロはたくさん手紙を書いた人なので手紙を書いているところなのだろうが,下の書物は聖書だろうか? 右奥の大きな剣の束が気になったのでキャプションを読むと,斬首による殉教を示唆するとあった。怖い‥

今回図録を購入したので解説を読む。1636年の作品で夜景の注文を受ける前だが,すでに名声を得ていたと言う。この老人も同時期の作品に繰り返し登場するそうだ。前回はティツィアーノが良いと思ったけれど,今回見直すと,レンブラントも捨てがたい。見た時の気分や体調にもよるのだろう。レンブラントがまだ幸せな頃だったと思うが,なんとなく不幸のかけらが見えてしまう。