ハプスブルグ展でこれ1点と言えば,マルガリータを差し置いて,ベネデット・ヴァルキの肖像だと私は思う。これは展覧会を観た私見だが,少し権威づけすれば,ウィーン美術史美術館の学芸員がすすめる必見の5枚の名画がぴあmookに載っていた。
 1位はヴェラスケスの「マルガリータ」,2位はデューラー の肖像画,3位はティツィアーノの肖像画,4位は作者が特定されていない肖像画,5位はコルネーリス•デ・ヘームの「朝食図」。
 これが第三位とされた肖像画。
 まずこの描かれた人物だが,当代一流の学者であり詩人である。1547年フィレンツェのアカデミアで,絵画と彫刻のどちらが優れているかと言うパラゴーネ論争を行ったという。この絵は1540年頃の制作だというから,論争以前。ヴァルキは1503年生まれであるから37歳ごろの肖像画である。男盛り,ただ彼は Varchi was notorious for his many sonnets to young boys だそうでどうもそういう人だったらしい。珍しくもないが。
 今となってはこの肖像画が彼に似ているかどうかは確かめる術もないが,この艶っぽさはなんだろう。黒の衣装の階調も素晴らしい。また右側の円柱の描写といったら!