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LEONの後半


またまたカッコイイ草彅剛が ドキドキドキドキドキドキ











草彅 剛「自分のことを役者とは思っていない。歌も踊りも色々やりたい」

アイドルとして一時代を築いた後、今や日本のドラマや映画に欠かせない俳優として高く評価される草彅 剛さん。奇しくも同じ年齢という白石和彌監督が初めて手掛ける時代劇映画『碁盤斬り』で主人公・柳田格之進を演じます。草彅さんにとって俳優とは、仕事の喜びとは? インタビューの後編です。



自分では特に役者に固執はしてないけれど


── 草彅さんはグループ時代からずっと演技をやってこられて、読売演劇大賞や日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など錚々たる賞を受賞。大河ドラマや朝ドラ『ブギウギ』での演技も話題となり、世間一般は“草彅剛=役者”という認識の方が多いと思うのですが、今そのように思われていることについてはどう思いますか?

草彅 剛さん(以下、草彅) それはそれでうれしいですね。新たな道を進み、新しい環境でお仕事をいただいて、そうやって役者としての僕を認知してくれる方が増えたり、応援してくれる人がいてくださるのは、自分自身もワクワクするし、また新しい地図を広げて頑張ろう! と思う原動力になります。

── もともとアイドルに憧れてこの世界に入り、夢を叶えたわけですが、ご自分の中でも、今は役者という意識の方が強いのでしょうか。

草彅 いや、どうですかね……そこは、なんか、そうやってカテゴライズすることもないかなと思っていて。今は皆さん色んなことをやっているし、僕自身も色んなことをしていますし。ただ、自分のことを役者とは思ってないかな。今もファンミーティングがあって、歌を歌って踊ったりもするので(笑)。

それは見てくれる方が、僕のことを役者とかアイドルとか、それぞれ思ってくれたらそれでよくて、僕としてはどう思っていただいてもいいみたいな(笑)。歌も踊りもバラエティもYouTubeも色々やりたいので、特に役者に固執はしてないです。

── それでも、お芝居の仕事は次から次へと決まっていきます。その中で何か思いというのはありますか?

草彅 お芝居のお仕事、多いですね(笑)。去年も、舞台、映画、ドラマと、お芝居する場所的には網羅しているし、いろいろな方から「この役どうですか?」というお話をいただけるので。

その中で演じていて思うのは、脚本の先生方が書かれた言葉ってすごく素敵だなということで。自分にはないような言葉遣いもそうだし、先日終了した『ブギウギ』で演じた羽鳥善一さんのセリフも、ホントに素敵だなと思うんです。

演じることで僕自身も役から清らかな心をいただいているし、そういった意味で、演じるというのは、役によって何か特別なものになっていくという感覚はあります。

寡黙で優しかった健さんのことを毎日考えながら撮影していた


── 今回の映画では、格之進と娘のお絹(清原果耶さん)との深い絆も物語の重要な要素になっています。娘を思う親の心情というのはどうやって作ったのですか?

草彅 そこらへんは積み重ねかな。お父さんの気持ちというのは想像でしかないぶん、なかなか難しいので。でもね、『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004)をはじめ、僕は娘や息子を持つ役もけっこうやってるんです。

過去の作品で娘と接したり、息子を思うシーンを重ねる中で、「守ってあげたい」とか「愛しいな」と思う気持ちが蓄積されてきた結果、今回も清原さんを自分の娘として愛することができた。だから僕は格之進になれたんだと思います。

あとは、うちで飼ってる愛犬の愛おしさを日々感じているのも大きいかな。実際、クルミちゃんとレオンくんの世話を毎日していると、ふとした時に「可愛いなぁ」とか「やっぱり僕がいないと生きていけないんだな」と思う。

そういう、か弱いものを守りたいという本能的な思いからも格之進の心情を拾っているから、クルミとレオンにも感謝しないといけない(笑)。そんなふうに、日常の中からも役のヒントを得ています。


── 京都の太秦撮影所での撮影だったことも、役に入るうえで助けになりましたか?


草彅 僕、『あなたへ』(2012)という映画で高倉健さんにとてもよくしてもらったんですね。太秦撮影所の俳優会館には健さん専用の楽屋があって、健さんの出演作品がない時も、楽屋はそのままになっているんです。そんな銀幕スターの全盛期に思いを馳せたり、今回の格之進はセリフを必要としないシーンも多いので、寡黙で優しかった健さんのことを毎日考えながら撮影していました。

あと、つかこうへいさんも、『蒲田行進曲』のシナリオを書く時に、太秦撮影所を取材したという話を聞いたことがあったので。ああ、こういう景色を見ながら、あの脚本を書かれたのかなと思ったり。つか先生に言われた言葉も、いつもながら思い出してましたね。

僕自身、太秦撮影所では何度も撮影しているし、なぜか縁のある場所なんです。


自分の新たな代表作になりそうな作品ができたかなと


── これまでの大切な思い出が、太秦という場所を介してよみがえったのですね。

草彅 思い出といえば、今回、吉原の半蔵松葉の大女将を演じられた小泉今日子さんにも、『まだ恋は始まらない』(1995)という僕が初めて参加した連続ドラマでとてもお世話になったんです。

小泉さんと中井貴一さんが主役のドラマで、僕は1時間にワンシーンか2シーンしか出てこない役だったんですが、小泉さんは初めての連続ドラマでかなりドキドキしていた僕にとてもよくしてくれて。だから、僕は今回の映画で彼女とツーショットになった姿がすごく感動的で。もう何十年も前ですけど、僕の中では、あのドラマで小泉さんと映ってた時と(関係性が)変わらないんです。

そんなふうに、今回の映画は僕にとって大切な思い出や人生が詰まっている作品で。本当にいろんな思いをかみしめたひと時を過ごしながら作品が完成したなと思っていますね。

── 仕上がった映画をご覧になっての感想は?

草彅 囲碁の世界の“静の戦い”と、後半の刀を使う“動の戦い”の静と動の戦うバランスがめちゃくちゃよかったし、そこに、落語が原作にあるが故に起きるおかしみみたいなものも加わって、ホントに不思議なバランスで成り立っている、見たことのない良い映画でした。


やっている時は結構大変で余裕がなかったし、僕は自分の顔もモニターチェックしないで終わってから全部見るんだけど、「俺、ちゃんとやってたな!」と思って(笑)。やっぱり余裕がないぐらいの方がいいんだなと思ったし、まさにその役に見えたのでとても満足しています。自分の新たな代表作になりそうな作品ができたかなと思っています。