おぱよ〜


今朝の佐藤さんのコラムは

昨日のななにー




 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による月1回のレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、※以下『ななにー』)#45が、12月5日に放送された。2021年ラストのオンエアは、歌番組で盛り上がる年末の雰囲気にふさわしいライブ満載のスペシャルな回となった。


 最初にコラボした“アーティスト”は、まさかの『ななにー』ファミリーであるみちょぱ(池田美優)が、タカアンドトシと結成した“バックドロップターメリックs”だ。披露したのはゲーム番組『有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京系)で一年かけて完成させたという「恋のスパイスカレーぇぇeeeee!〜ナンはおかわり自由です〜」。

 番組公式カレーソングでありながら、この『ななにー』で初披露という事実がさっそく笑いを誘う。加えてゲームとカレー、そしてプロレスネタが散りばめられたトシによるユニークな歌詞に、思わず稲垣も歌唱中に笑みが溢れる。とはいえ作曲を手掛けたのはケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)とあって、カレーさながらの後引く美味さ。ネタソングでは収まらないポテンシャルの高い楽曲で、“ななにースペシャルライブ”のトップバッターを見事に務めた。


 続いてマイクを握ったのは、前回“ななにーホンネトーク”で「来月一緒に歌おうよ」と約束していた、またもや『ななにー』ファミリーのEXITだ。生足がのぞく大胆な衣装に、思わず3人がツッコミを入れるも「これで『Mステ』出てますから」と全くひるまない。そんなバラエティ色の強い衣装ではあるものの、歌うのはMISIAがコーラスとして参加したことでも話題の「SUPER STAR」というのも、彼らの勢いを感じさせるところ。

 豪華なセットの中で、稲垣、草なぎ、香取と並んで歌い上げた状況に、りんたろー。は「この3人と歌える世界線があったなんて」「『スマスマ』出てる気分だった」と大興奮。それに兼近大樹が「俺らが入って5人じゃん!」と続ける。3人が着替えでいない合間に、“りんたろー。が木村拓哉で、兼近が中居正広のポジションか?“と、こっそり話し合って喜ぶ様子も微笑ましかった。

 そんなおなじみのメンバーとのコラボに続いて登場したのは、新たな世代を牽引するアーティストたち。まずは、香取がラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)でもピックアップしたことがあるバンド・緑黄色社会。ラジオで紹介された際、メンバーのpeppeが喜びの声をツイートしていたことが思い出される(※1)。

 長屋晴子と小林壱誓が同じ高校に入学する前からSNSで連絡を取り合ってバンドを結成した、など新世代ならではのエピソードが飛び出したり、peppeが母親と共にコンサートにも足を運んでいたSMAPファンであったこと、さらに穴見真吾と香取が“しんご”の枠を取り合うなど、トークでも息の合ったやりとりが繰り広げられた。


 トークやゲームではフレッシュさを醸し出しながらも、ライブパフォーマンスは堂々としたもので、「Mela!」「LITMUS」を情緒たっぷりに歌い上げる。そして「72かのナニかの何?」を緑黄色社会が手掛けたというアレンジでコラボ。長屋のボーカルと3人のユニゾンが心地よく響いた。

 続いて、日本よりも先に海外で高い評価を獲得し、全米ツアーを成功させたニュー・エキサイト・オンナバンドのCHAIが登場。ピンクのボリュームたっぷりなフリルがインパクト大な衣装を「Instagramで購入した」とサラリと明かし、「洋楽が好きだったからまずは海外に飛び出したかった」と活動の経緯も軽やかに語る姿にも、新たな時代の風を感じずにはいられない。

 そんな世代の違うゲストだからといって、変に遠慮することがないのが3人らしいところ。稲垣はリンゴの皮むき対決、香取はりんたろー。をモデルにしたデッサン対決でそれぞれ遠慮なく本気で勝利をもぎ取って距離を縮めていく。そして関係性がしっかり温まったところで披露される「N.E.O.」「PING PONG! (feat. YMCK)」がとても小気味良い。

 中毒性のあるサウンドとキャッチーな歌詞と、つい真似したくなるようなキュートな振り付けのパフォーマンスは、図らずも3人のアイドルな一面を引き出す形に。オープニングから踊っていたのはCHAIの振り付けだったのかと気づいたときには、さらに可愛らしく感じられた。そのまま「雨あがりのステップ」へと続くと、いつもの歌声にCHAIの高音が加わり新鮮に響く。〈誰もが特別〉と歌うこの曲のメッセージ性と、CHAIが「N.E.O.」を通じて個性を認め合う姿勢が呼応しているようにも感じられ、2組の相性の良さを感じられるコラボとなった。

 そして“ななにースペシャルライブ”の大トリを飾ったのが、来年30周年を迎えるウルフルズ。「ガッツだぜ!!」のMV衣装は志村けんがかつて着用していたバカ殿様のお下がりであったこと、トータス松本の結婚ソングだと噂されていた「バンザイ~好きでよかった~」は事実とは違うこと、そしてメンバーのジョン・B・チョッパーが一度脱退してから、その後バンド復帰の打診をしてきた話など、“今だから言える”ホンネ年表トークに花が咲いた。


 ちなみに、『ななにー』だからこそ明かされた話といえば、香取が2019年に開催した国内初作品展『サントリー オールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM !』で、ジョン・B・チョッパーがオープニングムービーのナレーションを務めていたという驚愕の事実が。これは香取さえも知らされていなかったらしく、「鳥肌と変な涙が」と膝から崩れ落ちていた。

脱退や活動休止、そして復帰とセンシティブになりがちな話題も笑いながら話せるときが来る。ウルフルズの年表トークを見ていると、そんな日が誰にも訪れるのではないかという希望が持てる。まだまだ遠い日だとしても。いつか笑い合える日が来てくれるのではないかと。

 この日、稲垣も『インテリゴロウ』のコーナーで、かねてより稲垣が好きだったという脚本家・坪田文に対して「ビデオテープが擦り切れるほど(木村が主演していた)『ロングバケーション』(フジテレビ系)見てたんじゃない?」とイジるシーンが見受けられた。数年前から考えれば、かなり風向きが変わって来ているような気がするのは筆者だけではないはずだ。

 〈とにかく笑えれば〉。そんなフレーズが印象的な「笑えれば」を「ガッツだぜ!!」と「バンザイ~好きでよかった~」と共に歌い上げた一同。人生の〈すいもあまいも〉を知った2組が歌うと、かつて聴いたころとはまた違った形で心に沁みてくる。年齢を重ねるごとに説得力を増していく彼らの活躍があってこそ、名曲として歌い継がれていくのだと改めて実感させられた。

 コラボライブの他にも、草なぎと大河ドラマを走り抜いた吉沢亮との『ホンネトーク』、安田顕&岡田結実を招いた『俳優共感トーク』、そして稲垣が「48ちゃいになりました!」と報告したバースデー(12月8日)を祝うエンディングなど、実に盛りだくさんな7.2時間となった。今年も残り1カ月。1年の終わりも〈ハハハと笑えれば〉。そんなおおらかな心持ちで次回1月1日、3人と共に良い年明けを迎えたい。

リアルサウンドより引用。