私が初めてポルセという時計の存在を知ったのは、あれはいつ頃だったろう?今ではもう辿り着くことのできない、ある時計好きの方のブログで、リコーのよく分からない時計として紹介されていたのが、確か最初だったと思います。その記事に添えられていた写真にヘッドだけボンヤリ写っていた時計、それが青のポルセでした。


最初に受けた印象は、正直いって余りパッとしたものではありませんでした。むしろ私の好みから外れる時計として脳にインプットされたといって良い。いかにも70年代といった、良くいえば若々しい、悪くいえば時計本来の美しさに欠けるデザインに加え(これがお好きな方には申し訳ない)、ポルシェというダサダサのネーミング(当時はこれで「ポルセ」と読むとは知らなかった)、12時下のリコーバッジなんて、私には仮面ライダーのショッカーマークにしか見えないし、一体この時計のどこをどう褒めろというのか…。


しかし、色々と調べていくうちに、私のこの時計に対する評価は180度変わりました。このポルセこそが、最高の機械式時計とは何かという問いに対して当時のリコー技術陣が出した答えであり、機械式時計メーカーとしてのリコーの最終到達点だったのだと。そのことに思い至った瞬間、これは何としてでも入手せねばなるまい、私はそう心に決めたのです。


但し、これを入手するまでには随分と時間がかかりました。コンディションで選ぶ以前にそもそも市場にモノがなかったからです。たまに出てきても、もう時計としては完全に終わってしまってる屑鉄みたいなものばかり。だから今回、黒に続けて青も手に入れることができたのは、自分でも本当にラッキーだったと思います。


そうそう、まだモノをお見せしていませんでしたね。今回私がゲットしたのはこれです。箱から出したままの状態で、まだ掃除もしてないから少し汚いけど、こんな感じ。

日付変更用のプッシュボタンのメッキが剥がれてしまっていますが、これはまぁ仕方ないでしょう。こいつが時計として頑張って働いてきた証です。

リコー銘が入ったブレスは多分オリジナル。長さが足りないから私にはキツくて使えませんけども、そもそも実用しようと思って買ったわけではないので、この点は無問題。

裏蓋の刻印は擦り減って殆ど見えなくなっています。まぁリコーではよくあること。

ブレスの取付け部を見ると汚れがこんなに…ウヘェ!ですね。

でも中の機械は綺麗です。うん、これはもう一目見ただけで分かる、紛うことなきリコーの機械。動作も全く問題なし。カレンダーも深夜0時付近でジャキーン!と瞬時に変わります。


その後、ケースとブレスの汚れを落とし、研磨剤で風防を軽く磨いてやってから黒と並べて記念撮影。青と黒、この2つのポルセを並べることは私のささやかな夢でした。それが実現できて、私は今、とても幸せです。