『痛風二十二年物語』十七話
“晴れ渡る山の稜線に立たせて”
4/15(水曜日)
入院7日目を迎えた。
前日、胸部に探触子を押し当て、
いろいろな方向から心臓を観察する、
心エコー検査を行った。
約30~40分間、かなりきつい検査だった。
H先生が言うことに、
これで一通りの検査を終えたようだ。
処方する薬も決まり、これを服用することで、
身体全体の痛みも徐々に和らぐようだ。
H先生は、私の面倒をよく見てくれた。
忙しい外来診察が始まる前、また終えた4時ごろ、
来てくれた。
「小林さんどうですか・・・。」
「はい、身体の痛みがかなりとれてきました」
「そう、ずいぶん楽になったみたいね・・・」
家内がつづけた。
「そうですか。」「熱も平温に戻ったようですね・・・」
カルテを見ながら、彼は 頷いた。
「昨日の検査結果がでましたが・・・こちらの方も
特に問題はなかったです。」
「総合的には、肝機能が少々弱っていますが、
しばらくは、処方した薬を飲んでもらって、
様子を見ましょう。」
「はい!分かりました。」
「先生どうもありがとうございました。」
家内が応えた。
H先生の白い背中を見送ると、家内と顔を見合わせた。
「良かったわね。」
「ああ、良かった。」
「一つ二つ、
悪いところが見つかると思っていたしな・・・」
「・・・・・」
家内の顔に、安堵の表情が浮かんだ。
私も、そんな顔をしていたろう。
そもそも、入院を決意したのは、
家で養生する限界を超えていたこと、
家内にも子供達にもこれ以上 心配かけたくなかったし、
私自身、病患の一つぐらい、あるのではないか・・・。
そんな考えからだった。
今日、H先生の話しは、
私たち二人を、
久しぶりに、
“晴れ渡る山の稜線に立たせてくれていた”。
― 続きは今度。よかったらまた読んで下さい。―
妻と登る・・・・