『痛風二十二年物語』十四話 -ベンケーシーの絵のよう- | 『 痛風二十二年物語 』・『 桜 と 痛風 』

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『痛風二十二年物語』十四話

ベンケーシーの絵のよう

7/25 (金曜日)

入院 三日目の朝を迎えた。

今日の看護師は、タレントのイモリさん


よく似ていた。

「小林さん、お早うございます。」

「お早うございます」挨拶はできた。

「身体 拭きましょうね 」、


少々湯気のたったタオルを、


私の 胸元におもむろに当てた。

「あっち!」戦慄が 走った

「あ、あちかった!」とタオルを持ち上げた 彼女は、

眼をまんまるにして、

「ごめん。ごめんなさいね。」

「あち、あちかった・・・。」である。

気持ちのいい熱さではなく、


身体が反応し痛みが走った。

新米だなと思った。

すると彼女は、手のひらでポンポンとタオルを叩き、


フーフーと息を吹きかける。

床屋を思い浮かべる。

そばを食べるんじゃないから。

「もういいかしらね・・・」と、

私の額と首ずじと 胸元を丁寧に 拭いてくれた。

「だいじょうぶ・・・?」

「・・・・・」答えようがなかった。

このあと、いつもの通り検温からのルーティーンは、

抜かりなかった。

「小林さん、今日も午前中検査がありますのでね。」

「朝食はとれませんので、我慢してくださいね。」

それだけ言うと、何の検査かも告げず


さっさと行ってしまった。

真っ白な天井に 規則的に並んだ、


蛍光灯が一直線に走っていた。

私を寝かしたストレッチャーが検査室へ移動中だった。

まるで ベンケーシー の絵 のようである。

寝たきりだったが、


点滴のお陰か少し身体も楽になっていた。

動きが止まった。チャイムが鳴った。


エレベーターの中だった。

B1Fで止まった。検査室は地下1階にあるようだ。

昨日もこの階だったのだろうか。

検査室についたようである。

狭苦しい薄明かりの 部屋に、


女医(検査医)が待ち構えていた。

「それでは 先生お願いします。」

看護師が 部屋から出て行った。

「小林さんですね。」

「今日は、腹部のエコー検査をしますね 」


ということだった。

超音波を腹部に当てて調べます」。

女医は早速、私の検査患部を裸にすると、

「ちょっと冷たいけど そのまま楽にしていて


下さいね。」と、

私の腹部にまんべんなく、


ゼリー状の液体を塗りたくった。

すると、パソコンの マウスのようなものを


腹部に当て始めた。

これを各臓器に沿って移動させるのだ。

腹部正面、左右脇腹、下腹部に至るまで、


彼女のマウス(探触子)が 動いた。

片手で探触子、片手でモニターを扱い、

私の内臓器の異常を丹念に観察しているのだ。

肋骨の際から腹部のほとんどを、


かなり隅々まで探触子は動いたが、

同じ個所を繰り返し探ることもあり、

そこに異常があるのではないかと心配になった。

そうこう緊張のうちに、検査は終わった。


かなり長い時間だった。

部屋は、もとの薄明かりに戻り、ナースセンターへ

検査の終了を伝えていた。

「先生、どこか悪いところありましたか?」


と訊ねると、

結果は、後日 担当医からお聞き下さい。」

ということだった。

― 続きは今度。よかったらまた読んで下さい。―


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