僕の世界に ラブストーリーや、色というワードは存在しなかった。
僕が掘った穴に落ちてくる ミミズやネズミを食べるだけ。
僕はもぐら。
ある夜 僕らの縄張りに偶然もぐらの女の子が迷い込んできた。僕には初めてのことで、いてもたってもいられなくなり、
「ねぇ おいで。一緒に地上に出てみよう。」
肩をたたいた。
夏の夜だったんだ。空には花火が上がり 僕と女の子は並んで花火を見た。たしかに何色かが見えた。
僕の世界にもぐらの女の子が加わった。一緒にご飯を食べて 眠る。
ふわふわしてあたたかくて、僕は来年の花火まで二人で生きたいと思った。