【柔道部物語：神様のお寿司を奪い取った男‼】

　我々の卒業した柔道部には、史上最強の柔道家である神様が存在しておりました。

　ここ数年、その神様の師匠がモデルになった人物が登場するマンガやアニメ他、映画にもなったおかげで、注目されるようになり、インターネット上でも話題になっております。

　自分は、1年生の時から先生（神様）係として、他の部員と違ったかかわり方をしておりましたので今回は、その時の思い出話にしばしお付き合い願います。

　４年生でマネージャーをしている時に、神様の師匠がお亡くなりになりました。

　葬儀の時に神様は、講演会等で参列できなかった事もあり、後日神様と二人でお師匠様へお別れのご挨拶に伺う事になりました。

　大学近くの最寄り駅で神様と待ち合わせをして、お師匠様のご自宅に伺い、ご位牌にお線香をあげて手を合わせた後、応接間に案内されて息子さんが対応してくれました。

　神様と息子さんの思い出話は、尽きる事はなく、お昼の時間になり、お寿司（特上）を取って頂きました。

　当時の自分にとって、特上寿司など高級な食べ物は、生まれて初めてお目にかかりましたので、二人の思い出話など耳には、入らずお特上寿司に全集中しておりました。

　お寿司と言えば、お稲荷さんか巻きずしや京樽の茶巾寿司くらいしか、食べた事ない自分にとって、特上寿司など一生食べる事ない、奇跡の食べ物です。

　今にして思えば、歴史の生き証人の話など、聞きたくても聞けない貴重な体験であったのに、大変もったいない事をしたと思いますが、特上寿司の魔力には、あらがう事は出来ずに、黙々と特上寿司の味を堪能しておりました。

　早々に自分の特上寿司を食べ終わりましたが、思い出話は延々と続き、自分ひとり取り残されていると、神様が隣に座っている自分に神様の特上寿司を食べる様に分けて頂きましたので、ありがたく頂戴し、夕方になったので、お師匠様のご自宅を後にしました。

　大学に戻り、稽古中の道場を覗くと、監督が学生相手に汗を流しており、合間を見て、監督へ無事に神様と一緒にお師匠様の所へ行ってきた報告をした所、とても怒られ、部員からは、神様から特上寿司を奪い取った男として、歴史と伝統ある我が柔道部の黒歴史に名を連ねる事となり、40年以上たった現在でも伝説の男として語り継がれております。

　世間では、鬼の柔道家として現在でも伝説の神様ですが、プライベートでは、とてもやさしくして頂いたこと、大変懐かしい思い出アルバムの大切な１ページになっております。

押忍‼

#特別な日に食べたいのは寿司or焼肉【柔道部物語：神様のお寿司を奪い取った男‼】