【東向島『志゛満ん草餅(じまんくさもち)】
和菓子といえば、お茶席で頂く、上生菓子を思いうかべる方も多くおられると思いますが、毎日食べたくなるのはきっと、どら焼きや大福のような気取りのない和菓子ですね。
今回は、昔から庶民に愛されている、街の和菓子のお話をしようと思います。
隅田川の渡船場横で、渡し舟の客向けの茶店としてはじまった『志゛満ん草餅(じまんくさもち)』。名物は香り高いよもぎを使う草餅です。
白みつときな粉で食べる「あんなし」と、コクのある「あんいり」がありますので、どちらを食べたらよいのか、毎回、悩んだ末に私は、両方食べてしまいます。
「東向島・志“萬んの草餅」は、明治2年(1869)に隅田川の渡船場横で茶店として創業した古くから、地元に愛されているお店です。
当時は、墨堤のよもぎを手摘みして草餅を作っておりましたが、時代と共に、しっかりと管理・栽培された、衛生的な、よもぎを使用する様に変化していきました。
現在は、東北地方や北海道のよもぎを多く使用しており、一番状態の良いよもぎを使用しているので、微妙な香りの違いを楽しむことが出来ます。(一期一会ですね)
草餅作りはよもぎを茹でて、柔らかくなった、よもぎを上新粉で練っており、濃厚なよもぎの香りが、より一層おいしさを引き立ててくれます。
草餅は「あんいり」と「あんなし」の2種類あり、俵型の「あんいり」には北海道十勝産小豆でつくる自家製のこし餡を7:3の割合で包んでいます。(よもぎの味を最大限に引き出すための黄金比らしいです)
自家製の餡は、大変コクがあり、よもぎの香りに負けない風味があり、「あんなし」は、真ん中が少し、くぼみがあり「渡し船を模したのでは」渡し船の客が食べ歩きしやすいよう工夫して、この様な形になった様です。
両方購入し、その時の気分で、餡入り、餡無しを食べ比べてみるのも、楽しみの一つかもしれませんね。
一口含むと、濃いよもぎの香りが口いっぱいに広がり、甘党以外の方にも人気があるようです。
「志“萬ん」の餅菓子はどれも当日限りなの賞味期限なので、食べきれる量を購入されることををお勧めいたします。
私は、お店入り口にあるベンチに腰掛けて、お茶を飲みながら出来立ての草餅を食べて、楽しんでいます。
墨堤通り沿いを進んでゆくと、『言問団子』や『長命寺の桜もち』といった老舗あり、天気の良い日など、散歩がてらのんびりと、和菓子のおいしさを堪能するのも、贅沢な休日の過ごし方かもしれませんね。
特に、桜の季節などは、満開の桜を見ながら、食べるこれらのお菓子は、この世のものとは、思えない程、美しい景色を眺めることが出来ます。
毎日、時間に追われて、忙しく過ごしておりますが、たまには、温かい日差しの中、読みかけの文庫本とお気に入りのお菓子をお供に、ゆっくりとした時間の流れを感じることで、体と心をリフレッシュしてみては、いかがでしょうか?