中学受験と全く関係ない話。
半沢直樹、ご覧になっている保護者の皆様も多いと思いますが、企業買収の世界の話なので、話が分かりにくいとお感じの方もいらっしゃると思います。
私は専門家でもなんでもないのですが、趣味としてちょっとかじったこともあります。そこで私が理解している限りの企業買収・買収防衛策について、半沢直樹との絡みで簡単に解説したいと思います。
1 友好的買収と敵対的買収
まず、ある企業(買収企業)が他の企業(対象企業)を傘下におさめる方法はいろいろありますが、一般的には、対象企業の議決権株式の過半数を取得するのがゴールとなります。過半数株式を取得すれば、その企業の取締役人事から経営方針まで最終決定権を得られる、と考えて頂ければいいと思います。
では、どのように過半数の議決権株式を取得するのか?企業買収には、友好的な買収と敵対的な買収があります。
友好的な買収、つまり対象企業と経営陣が納得して傘下に入る場合はあまり問題はありません。もちろん価格交渉等は必要にはなりますが、合意に至れば、対象企業の株主から買収企業が株式を譲り受けて終わりになります。経営陣が過半数の株式を保有していれば話は簡単だし、対象企業が上場している場合も、株主に対して買収提案に応じるようアナウンスするなどして、過半数の移転も達成可能です。
これに対し、敵対的買収の場合はどうなるでしょうか?対象企業の経営陣は買収されたくないわけです。まず、対象企業の経営陣が株式の過半数を保有しているような非上場企業の場合、通常敵対的買収は不可能になります。
ところが、対象企業が上場企業であり、現経営陣が議決権株式の過半数を保有していない場合、現経営陣の意向に反して過半数の株式を取得することも可能です。上場企業の株主は個人も含め極めて多数となり、その中には株式を高く買ってさえくれればどの会社の傘下になろうと関係ない、と考える者も多数いるわけです。そうすると、現経営陣がいくら買収に反対していたとしても、買収企業は高額の価格を提示することで、市場で対象企業の株式の過半数を買い集めることもできることになります。
また、大株主が複数存在し、その一部が現経営陣と反目しているような場合は、その反目している株主から譲り受けてシェアを拡大する方法もありえます。
会社法や金商法上の複雑なルールはありますが、そのルールに従って、過半数の株式を取得すれば、現経営陣が反対していても対象会社を傘下に収めることは可能なのです。
「半沢直樹」の解説(ネタバレ有)
さて、「半沢直樹」では、電脳雑技集団はスパイラル社に対して敵対的買収を仕掛けています。スパイラル社は社長を初め経営陣に大株主がいるようですが、創業者のうち社長以外の2名は電脳雑技集団に株式を市場外取引で売却してしまい、既に30%のシェアが奪われています。スパイラル社社長がどの程度の株式を保有しているのかわかりませんが、上場企業なので、電脳雑技集団がTOBなどであと21%の株式を市場で取得すれば、敵対的買収は成功となるわけです。
長くなったので記事を分けます。次回は買収防衛策について。