「そしてじゃ、これがワシからおぬしに伝える最後の未来予知としておこう。


   今日、おぬしははじめて話をする人物とめぐりあう。その人物から、おぬしは重要な言葉を聞く筈じゃ。その言葉を記憶しておくのじゃぞ。よいな!」

   よねはコックリと頷いた。



「この先、おぬしの周りには様々なことが起きるじゃろう。しかし逃げるな!それをすべて受け止めるんじゃ!


   すべては運命という流れの中に身を委(ゆだ)ねよ。さすれば、必ず良い方向へと向かっていく。


   よいか!  逃げずに立ち向かえよ! ……未知の力は前向きな者にのみ与えられていくのじゃ」


   よねは顎の髭をさすりながら、ただ老人をじっと見つめていた。その姿は何か大きな決心を伺わせるそんな感じだった。


「さて、そろそろ行かなくてはな……」

   老人はそう言いながら、名残り惜しそうによねを見つめた。


「人間にはな、頼られることの嬉しさとその反面、頼られることの辛さというものがある。では、頼られなければどうじゃ?


   ……気軽なもんじゃわい。当てにされてないんじゃからな。しかし、その逆に頼られない寂しさ、虚しさというものがある。……大人になれば、リストラというものも待っているしの……」


「えっ、リストラって……?また何か特別な力ですか?」


「フォフォフォ……。リストラが特別な力……。うむ、考えようによってはそうかもしれん。なるべく使われたくない、使いたくない特別な力じゃ」


   そう言いながら、老人の瞳がキラリと光った。「この世の中は.すべて表と裏、光と影でできておる。奴が影ならば、おぬしは光じゃ!  希望の光なんじゃ!  よいか、よね!  おぬしは光になるのじゃぞ!!」


「あっ、待って!  おじいさんの名前は……?」

「そのうちわかる……。まだずっと、ずーっとあとじゃがな……」


   そう言ったかと思うと、老人は最初に会った時と同じように右手をサッと上げた。すると真っ白な霧が老人を包み込み、よねもその霧に飲み込まれた。


「ワシはいつでもおぬしを見ておるからな……」

   霧の中から声がしたかと思うと、よねは渦の中にからだ全体がクルクルと回りながら巻き込まれていくような感じがした。


「よねちゃん……、よねちゃん……」

   誰かがしきりに呼んでいる。ハッとよねは目が覚めた。


   部屋の中は真っ暗だ。しかし東南の窓から仄かに月明かりが射し込んでいるため、すぐに目が暗さに慣れてきた。ふと視線を左に移すと、心配そうに自分を覗き込んでいるあさと目が合った。


「よねちゃん、大丈夫?  すごくうなされていたから……。ほら、こんなに汗をびっしょり掻いて!」


   そう言って、あさはよねのおでこをどこから持ってきたのか日本手拭いで拭いてくれた。


「よっぽど昨日の霊媒学の授業に興奮したんじゃないの?  寝るまで話してたものね」


   何だかすごく体がだるい。

「今何時?」とぼんやりする頭でよねは聞いた。

「まだ夜中の2時よ。さっ、早く寝なさい」


   4月とはいえ、まだ肌寒い。あさは寝巻きの襟を直しながら布団をスッポリとかぶってすぐに寝息を立て始めた。


   ふと右を見ると、麻美と幸司の可愛い寝顔が月明かりに白く映し出されている。

   よねは視線を天井に移し、さっきの夢を考え始めた。


(やっぱり、夢だったのかしら。……いえ、そうじゃないわ。時風波という言葉もしっかり覚えている。存在理由という意味もはじめて知ったわ。


   そして、私が誰かをやっつけなくちゃいけないということも……。これだけは夢であって欲しいけど……。


   あっ、そうだ!  今日、初めて会う人と話すことになるとも言ってたわね。その人から何か重要な言葉を聞くって……。一体誰かしら……?)


(あっ!今日の授業……!「演劇学」の授業があるわ。その授業で、私は初めて音羽時次郎先生と会う!)


   よねは今日の4時間目、音羽先生の「演劇学」があることを思い出した。


(……音羽先生!  時次郎は、ハルちゃんが人さらいにあった時にエロ河童と一緒にいて……。

   サッちゃんの話だと、警察はエロ河童と時次郎を泳がせてるって言ってたし……。


   まさか、お爺さんが言ってた私に重要な言葉を言う人って、時次郎先生?  一体どんな話があるの?  私と時次郎とどういう関係があるの……?)


   こんなことを考えていたら、よねは目がだんだんと冴えてきて眠れなくなってしまった。


   仕方なく右にいる麻美の手をそっと握り、ただただ夜が白々と明けてくるのをじっと、ただ一人じっと感じていた。



ワカバよもやまコーナー 

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   さぁ、今回はアメリカの恋愛事情だよ〜💖

まずは、恒例の初キスの場所は…😙


   たくさんの異性と同時進行でおつき合いするんだぁ…イタリアと同じかも…⬇️


   同時進行のおつき合いで一夜を共にすることもあるの❓Σ(ㅇㅁㅇ;;)エッ ⬇️


   恋人になる前は何してもOK❓さすが自由の国アメリカ🇺🇸…日本だったら即、別れ話だわ

   ⬆️ でも、頑張った甲斐あってプロポーズして貰えたんだねぇ⬇️



    プロポーズに片膝をつくの❓⬆️



   片膝をついてプロポーズしてくれる男性…現れるかなぁ🤔

    皆さんのプロポーズはどうでしたか❓



第20章「音羽時次郎のオーディション」①  へつづく

※ 一部 SNS よりお借りした画像があります。


(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)