既報のとおり、2022年11月7日、陸上自衛隊木更津駐屯地 第1ヘリコプター団輸送航空隊のV-22オスプレイが、来年(2023年)1月以降、立川飛行場へ飛来する予定であるとの報が伝わりました。それを受けた立川飛行場周辺8市(立川、国立、日野、昭島、東大和、武蔵村山、小平、国分寺)は同日、「立川飛行場周辺自治体連絡会構成市長」の連名で、防衛大臣に対して、「V-22オスプレイ飛来について」の要請書を提出したとのことでした。

(「立川飛行場周辺自治体連絡会」とは、 2012年3月に立川飛行場に起因する共通の諸課題に取り組むべく上記8市の間で組織されたもので、以下「連絡会」と略称します。)

20221107_yousei_daizin.pdf (hino.lg.jp)

 

日野市のホームページに公表されたその要請内容によりますと、同「連絡会」が北関東防衛局から、オスプレイ飛来に関する説明を受けたのは、2022年11月1日および2日でした。

つまり、周辺8市の市長は、市議会にはかることなく、住民への説明もないまま、オスプレイの飛来・訓練を受け入れることを前提とした上で、1週間以内のうちに要請内容をまとめ、防衛大臣あてに提出したのです。

 

砂川平和ひろばでは、その点も含めて危機感を強め、なんとか声を上げたいと考えてきました。そして他の市民団体とともに、11月25日、自衛隊立川駐屯地でのオスプレイ訓練に反対するよう求める申入書を、立川市に提出しました。

 

オスプレイが来る! 防衛当局と地元自治体による受入れ体制作り | 砂川平和ひろば Sunagawa Heiwa Hiroba (ameblo.jp)

オスプレイが来る! 反対行動 | 砂川平和ひろば Sunagawa Heiwa Hiroba (ameblo.jp)

 

申入書に対して、立川市から以下のような回答が12月9日に届きました。

(下記の文中「連絡会」とあるのは、上述のとおり「立川飛行場周辺自治体連絡会」のことです。)

 

 

  陸上自衛隊オスプレイの立川駐屯地での訓練に反対するよう求める申入書への立川市の回答


【申入れ事項】
1.「連絡会」の11 月7日付の国あての要請書は、オスプレイについて「(従来から)住民からは機体の安全性について懸念の声」が寄せられ、「周辺住民の不安の解消には至っておりません」という認識を示しています。しかし同要請書では、国への要請事項として、「57年協議事項の遵守」や、「安全対策の徹底」など、立川基地を使用するすべての航空機に当然求められることしかあげていません。立川市長は、市民の命と生活を守るために、オスプレイの飛来また訓練に、絶対反対の姿勢をとってください。
(1への回答)
陸上自衛隊オスプレイの立川駐屯地への飛来及び同機の訓練は、「技能習得並びに首都圏における大規模災害発生時の人員・物資の緊急輸送等に備えるため」と説明を受けており、その訓練の是非については立川市として意見を申し述べる立場にはありません。一方、米軍オスプレイを巡る状況から、周辺住民の皆様の不安は一層高まるものと考えているため、その実施においては、立川飛行場周辺8市で協議しながら、基地周辺住民の安全・安心と生活環境に配慮するよう、国に対し申し入れてまいります。


【申入れ事項】

2.「連絡会」参加各市と再度よく協議して、住宅地上空で実施されるオスプレイの立川基地での訓練に反対する意思を防衛省に表明してください。
(2への回答)
米軍オスプレイを巡る状況から、周辺住民の皆様の不安は一層高まるものと考えているため、その実施においては、立川飛行場周辺8市で協議しながら、基地周辺住民の安全・安心と生活環境に配慮するよう、国に対し申し入れてまいります。

 

【申入れ事項】
3.国からオスプレイ訓練の通告があったことを市報や市WEBなどでもっと積極的に広報してください。
(3への回答)
国からのオスプレイ訓練の通告については、11 月7日に市ホームページにて発信したほか報道各社へも情報提供し、広く周知に努めたところです。なお、ご要請を受け、広報たちかわの令和5年1月10 日号において、11 月7日に実施した要請についてお知らせしてまいります。

 

【申入れ事項】
4.十分な広報をおこなった上で、訓練実施に対する市民の意見公募を広く呼び掛けてください。
(4への回答)
立川飛行場に限らず、基地に関する情報は、適宜、市ホームページでお知らせし、都度ご意見はいただいております。今後も立川飛行場周辺自治体連絡会で協議しながら、訓練に関す

る情報について、周辺住民への周知に努めるよう国に対し求めてまいります。

 

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以上の回答は、申入れ提出前と変わらない通り一片の内容であり、納得できる回答とは思えません。

 

2014年に米軍横田基地に初めて海兵隊MV-22オスプレイが飛来した際、横田基地周辺基地対策連絡会は、「十分な説明責任を果たすことなく、横田基地へ飛来することがないよう」要請しました。

立川市でも2020年に、砂川平和ひろば・立川自衛隊監視テント村・「オスプレイ飛ばすな立川市民の会」の連名で、市に申し入れを行っています。陸上自衛隊木更津駐屯地にオスプレイが暫定配備される計画を受けて、立川への飛来を警戒してのことでした。住宅密集地に近い市内の陸上自衛隊立川駐屯地へのオスプレイ飛来に反対するよう求める申し入れ書を、提出したのです。

陸自オスプレイ「立川に飛来 反対を」 市民団体、市に申し入れ:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

にもかかわらず、今回(2022年)11月初頭に防衛省からの通告を受けた8市の市長は、周辺住民の不安への配慮や、訓練飛行を最小限にすることなど、言うまでもない当然のことでありながら、なんの保証も確約も期待できない要請を行っています。

これは、立川市だけの問題ではありません。

 

 

  国立市の陳情署名、議会で採択


国立市では12月初旬、市民グループが市議会議長あての陳情をするため、署名活動を行っていました。。

陳情事項は以下のとおりです。

 

1. オスプレイ訓練に関する防衛省からの通告、これに対する8市連絡会の要請、国立市における検討について、経過と内容を明らかにしてください。

 

2. 欠陥の多いオスプレイについての飛来と、問題の大きい立川での訓練について、国立市の考えを明らかにしてください。

 

3. 市民に対して事実経過とともにオスプレイの危険性について十分に知らせ、広く意見を求めてください。

 

4. 上記3点が行われ、かつ防衛省が十分な説明責任を果たして、市民の懸念が払拭されることのないまま飛来・訓練することがないよう、国に求める意見書を出してください。

 

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署名運動期間がわずか2週間だったにもかかわらず、国立市の陳情者代表側が期待した以上の関心を呼び、930筆を越える署名が集まったそうです。

常々オスプレイの強行配備に懸念を抱きながら、反対の意思表示をする機会のなかった人々は、喜んで署名に応じたことでしょう。

そのかいあって、12月21日の国立市議会で、本件の陳情が採択された模様です。

 

立川でも国立でも、市長や市議会は、こうした市民の声にどう応えていくのか、防衛省側の説明はどうなるのか。様々な動きが進行中です。