ALSの呼吸不全を防ぐバイパップの使い方(チェ先生の意見) | やまいものsay it with flowers

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嚥下困難、上肢、肩の筋力低下があります。2015年3月6日にALSと診断されました。脚の調子はいいので、てくてくお散歩をつづけています、いまは小康状態かな、いままでのALSブログのまとめ、右欄につけました。また治験情報トフェルセンも随時更新しています。同じく右欄で。。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)について、

 

 

米国の医学雑誌ChestにNIV(非侵襲的人工換気)をどう使うべきかという論文が掲載され、その後、議論をよんでいます。(文献1-3)

 

 

NIVとは非侵襲的にマスクを使っておこなう呼吸補助装置のことで、いわゆるバイパップですね(下記写真)。バイパップは呼吸を補助するばかりでなく、呼吸苦を軽減し、生活の質をたもつ効果があります。

 

 

前回はニュージャージー大学バッハ先生(文献2)、NIVをさらに積極的に使おうとする意見です。(→こちら

 

 

これを受けて今回は、デューク大学崔(チェ)先生の意見です(文献3)。

 

 

さて「ALSバイパップ論争」

 

 

どのように展開されたのか。。。

 

 

 

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雑誌チェストは呼吸器分野のトップジャーナル。

 

 

米国ニュージャージー大学バッハ先生と、米国デューク大学崔(チェ)先生の意見交換で、手紙(レター)という形式でかかれたものです。

 

 

今回は米国デューク大学崔(チェ)先生の意見です。

 

デューク大学

Philip Choi先生(崔先生)

(現在はミシガンに移ったようです)

 

崔(チェ)先生は救急医、呼吸器科専門医です。。

 

ちなみにバイパップはこんな機械↓

 

 

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前回バッハ先生の主張は、

 

 

1 気管切開をせずに、10年以上バイパップをつけてすごしているALS患者さんが何人もいる.。

 

2 肺をひろげることや、用手的に(補助者が)咳をさせること、呼吸法を工夫することで、生存をのばせる。

 

3 低い肺活量(肺活量10%以下)でもCNVSとカフアシストをおこなうことで、十分に生存できる。。

 

ということです。(詳しくは→こちら

 

 

 

CNVS=長時間のNIV使用、QOL=生活の質、カフアシスト=排痰補助装置(→こちら

 

 

 

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今回はDuke大学崔(チェ)先生の意見です。

 

 

 

バッハ先生のお手紙(レター)に感謝します。

 

 

またバッハ先生がこれまで神経筋神経疾患の呼吸障害に大きな貢献をされてきたことに敬意を表します。

 

 

私どもも、呼吸器内科医としてNIVを使い、その経験からNIVによって十分な換気(呼吸)が得られるという点には同感で、実際にそのような目的で使用しております。

 

 

ALS患者に長時間のNIV(CNVS)を実施することもありますが、その場合、患者さんは気管切開をすべきかどうかを、あらかじめ自己決定なさっている状況です。

 

 

そういった意味で、私たち医師のなすべき最大のことは、NIVやカフアシスト最適な状態で使用できるようにすることです。

 

 

そうすることで患者さんのQOL(生活の質)を最大にすることができます。ただし、ここでQOLとは、単にどれだけ長く生きるかという点を意味するものではありません。

 


バッハ先生がなさっている治療の選択は、ご自身の卓越した経験からのものですが、大規模研究などで裏付けられたものではありません。

 

 

どの治療がよいか、結論をだすためには、今後さらに大規模多施設の研究が必要になるでしょう。

 

 

呼吸管理機器は進歩していますが、機械をいかに最大限に最適化したとしても、どのようにNIVを使用できるかは、患者さんごとに違います

 

 

つまり、患者さんからNIVをみたとき、NIV治療がいい状態をもたらしてくれるのか、それともあまり快適でないか、それぞれ違うということになります。

 

 

つまり、長期間という点がプラスにみえたり、マイナスにみえたりするということです。

 

 

実際、ALSの患者さんはしばしば快適な生活を重視した選択をします。

 

 

それがたとえエンドステージに近づくものであったとしてもです。

 

 

生命を保つための手段の選択は、NIVもそうなのですが、患者さんを中心に、患者さんの価値観や希望にそってなされるべきです。

 
 
また治療のゴールについては、つねひごろ早期から、またおりにふれて、治療の経過の中でお話しします。
 
 
そのなかで患者さんの希望は時にかわることがあり、とくに病気の進行で自由度が制限されるにしたがって、かわっていきます。
 
 

ホスピスの考え方はALS患者ケアの重要な部分であり、これはCNVSを実施したとしても、ほとんどの患者に関係することです。

 
 
新しい方法がでてくるたびに、私たちが考え続けなければならないことは、ひとつは生命を長くたもつこと、そしてもうひとつは、QOLとの関係でいいバランスを保つということです。
 
 
それが大きな挑戦をなさっている患者さんにとって大切なことだからです。
 
 
 

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感想

 

 

NIV(バイパップ)については、呼吸を補助するばかりでなく、呼吸苦を軽減し、生活の質をたもつという点、これは確かですね。

 

 

また、今回の崔(チェ)先生のお話、先生が患者さんおひとりおひとりの声に耳を傾け、丁寧に診察されていることがわかります。
 

 

崔(チェ)先生もNIVによって十分な換気(呼吸)がえられることを実感し、長時間のNIV(CNVS)の有効性も経験しておられるようです。

 

 

また、最適化ということをおっしゃっていましたが、これは、機械の調整やカフアシストの使用、また環境の整備や胸郭の可動性の確保、リハビリ、痰や唾液の対策などが、含まれていると思います。総合的な対策ですね。

 

 

そうした医療環境の基礎のうえで、最終的には患者さんが、自身の価値観や希望にそって選択されるべきだと、崔(チェ)先生は述べられていたと思います。

 

 

とても感銘深く、また印象深く、読ませていただきました。

 

 

私もバイパップ使用者なので、この論争を参考にしながら、まだまだ粘っていきたいと思います。

 

 

ここまで、長文をお読みいただき感謝申し上げます。お願い

 

 

 

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文献

 

 

1) Niedermeyer S, Murn M, Choi PJ. Respiratory failure in amyotrophic lateral sclerosis. Chest. 2019;155(2):401-408.

 

2) John R. Bach, Michael Chiou Is “Noninvasive Ventilation” the Way to Prevent Respiratory Failure in Amyotrophic Lateral Sclerosis? Chest, Volume 156, Issue 1, July 2019, Pages 189

 

3) Philip Choi Response Chest, Volume 156, Issue 1, July 2019, Pages 189-190

 

 

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参考ブログ(NIVについて、少し詳しくかいてあります)

 

 

【ALSの治療】NIV(非侵襲的人工換気)の現在地①(→こちら
【ALSの治療】NIV(非侵襲的人工換気)の現在地②(→こちら
【ALSの治療】NIV(非侵襲的人工換気)の現在地③(→こちら
 
 

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