株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年改正前)172条1項にいう「取得の価格」

 

最高裁判所第1小法廷決定/平成28年(許)第4号、平成28年(許)第5号、平成28年(許)第6号、平成28年(許)第7号、平成28年(許)第8号、平成28年(許)第9号、平成28年(許)第10号、平成28年(許)第11号、平成28年(許)第12号、平成28年(許)第13号、平成28年(許)第14号、平成28年(許)第15号、平成28年(許)第16号、平成28年(許)第17号、平成28年(許)第18号、平成28年(許)第19号、平成28年(許)第20号

              平成28年7月1日

『平成28年重要判例解説』商法事件

株式取得価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

【判示事項】    株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172条1項にいう「取得の価格」

【判決要旨】    株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い、その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし、当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において、独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど当該株主または当該株式会社と少数株主との間の利益相反関係の存在により意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ、公開買付けに応募しなかった株主の保有する上記株式も公開買付けに係る買付け等の価格と同額で取得する旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付けが行われ、その後に当該株式会社が上記買付け等の価格と同額で全部取得条項付種類株式を取得した場合には、上記取引の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情がない限り、裁判所は、上記株式の取得価格を上記公開買付けにおける買付け等の価格と同額とするのが相当である。

(補足意見がある)

【参照条文】    会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172-1

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集70巻6号1445頁

          裁判所時報1655号181頁

          判例タイムズ1429号89頁

          金融・商事判例1507号19頁

          金融・商事判例1497号8頁

          判例時報2321号121頁

          金融法務事情2060号74頁