第2 株式
1 株券の発行
会社法では、原則として株式会社は株券を発行しないこととしています。例外的に、株式会社は、その株式に係る株券を発行する旨を定款で定めることができます(会社法214条)。旧商法では株券発行会社が原則であったものが、平成18年の会社法の制定により、原則と例外が入れ替わりました。このような定款を定めた会社のことを株券発行会社といいます。
(定款案) (株券の発行) 第○条 当会社の株式については、株券を発行する。 |
もっとも、登記実務上は、平成18年の会社法制定前の株式会社で定款に株券を発行しない旨の定めがない場合には、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により株券発行会社となるのが原則とされており(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律76条4項、113条4項)、定款と登記の変更をしなければなりません。
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じません(会社法128条1項)。株券発行会社が合併等のM&Aを行う場合で、株式譲渡があったにもかかわらず株券の交付をしていなかったときには、デュー・ディリジェンスでこの問題が顕在化することになります。このような事態を避けるためには、株券発行会社では株券を発行しない旨の定款変更をすることが必要です。2 名義株
名義株とは、他人名義ないし仮設人名義で所有している株式のことをいいます。平成2年の商法改正前は、株式会社の設立のために最低7人の発起人が必要であり、さらに発起人は最低1株を引き受けなければなりませんでした。そのため、現在でも名義を貸しただけの者が存在している可能性があるのです。
このような名義株主がいるとき、次のようなさまざまな問題が起こる危険があります。第1には、名義株主と真の株主との間に不一致がある場合があり、M&Aの障壁になりかねないということです。このような場合には備えて真の株主が誰かを特定した上で、不一致を解消しておくことが必要です。第2には、名義株主からの買取請求があり、買取資金が多く要するということです。事業承継が問題となる会社では、長年の経営努力の結果、額面の何倍もの評価になることがあり、株式買取資金が多額になるおそれがあります。この点からも、名義株主の特定と真の株主との不一致を解消しておく必要があるのす。
こうした不一致を解消するためには、弁護士のアドバイスを受けつつ名義上の株主に真実の権利関係を書面(名義株確認書、名義書換承諾書等)により明らかにさせておくとよいでしょう。