7 全部株式譲渡制限会社における属人的定め
(1) 概要
108条で定める9つの種類株式のほか、公開会社でない株式会社では、以下の事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができます(会社法109条2項)。
(ⅰ)剰余金の配当を受ける権利 (ⅱ)残余財産の分配を受ける権利 (ⅲ)株主総会における議決権 |
(2) 事業承継との関係
株式の内容ではなく、各株主について属人的に権利内容等を定めることができるという点で種類株式と異なります。例えば、株主のうち取締役である株主に限り議決権を有するものとし、それ以外の株主は議決権を有しないとすることができます。
(3) 導入方法
この定款の定めを行う場合には、株主総会の特殊決議が必要です(会社法466条、309条4項)。すなわち、総株主の半数以上で総株主の議決権の4分の3以上の多数の賛成が必要になります。この要件を充たすことは容易でなく、活用できる場合は限定的なものとなるでしょう。また、いかなる取扱であれば許されるかが確定的でなく、判例の集積を待つ必要があることから、極端な区別的取扱いは無効とされるおそれもあります。
8 定款変更の手続
会社の根本規則である定款を変更するには、原則として、株主総会の特別決議が必要です(会社法466条、309条2項11号)。会社が複数の種類株式を発行している場合に、特定の種類株主に損害を与えるような定款変更をするときには、その種類株主による総会(種類株主総会)の承認決議が必要になります(会社法322条1項1号)。