相続放棄と遺留分放棄の比較
相続放棄と遺留分放棄には、以下のような違いがあります。 (ⅰ)要件 遺留分の放棄は、相続開始前であれば、家庭裁判所の許可(民法1043
条1項)を得て、相続開始後であれば、個々の遺留分権利者が自由に放棄を行うことができます。 遺留分の生前放棄を家庭裁判所の許可にかからしめた趣旨は、相続開始前に無制限に遺留分の放棄を許すと、被相続人の圧力により遺留分権利者が遺留分をあらかじめ放棄するように強制させられるおそれがあるため、この弊害を防止する点にあります。 これに対して、相続放棄は、相続開始後、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にこれを行う必要があり、相続開始前に行うことはできません(東京高判昭和39・11・17下民集15巻11号2734頁)。 (ⅱ)効果 遺留分放棄によって、当該遺留分権利者は遺留分減殺請求権を行使する ことができなくなりますが、これによって他の遺留分権者の遺留分に影響を与えず(民法1043条2項)、当該遺留分権者が相続人の地位を失うこともありません。 これに対して、相続放棄は、相続放棄をした者は、その相続に関して、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)から、相続人の地位を失うことを意味します。したがって、他の相続人の相続分が、相続放棄によって、増加することになります。また、他の相続人の遺留分についても相続放棄によって、増加することになります。 |