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 出演者たちの演技は、どれも想像していた以上のものだった。

 皆がその町に住んでいる人間と錯覚するかのような痛みを表現してくれている。

 撮影 が終わってすでに2カ月も経とうかというのに、

 まだ平田家の家族というカタチが、それぞれの役者の中に残っているというのにも頷ける。

 映画 というものには色んな形でメッセージ が内包されているもの。

 だが、本作品には声高にそれを叫ぶものはない。

 あるのは劇中内で起こる事象に対しての怒りや悲しみの姿だ。

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 もちろん、映画はフィクション ではあるのだが、

 実際の現実世界では、福島 原発事故の収束などほど遠い事実がある。

 それなのに、報道は少しづつ減っていき、

 自民党が政権を奪回した以降の経済指標に熱に浮かされたようにすがりついている。

 「~ミクス」などという言葉にすり替わった現実世界の虚無。

 そこに気づいているのに従うしかない世界。

 そうした矛盾も映画では描いている。

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 本作品は、若い世代の人たちに観てもらいたい1本だ。

 いや、観るべき1本だ。

 守るべきものが見つからない世代や、どこに向かおうか悩んでいる世代。

 少しでも光を手にしたいと願っているならば、

 この映画の中で故郷から離れることを決断することになってしまう平田家の姉妹が、

 自分たちの住んでいた町に向かって叫ぶ言葉に、心を震わせるはずだ。

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 そして、自分が同じことを叫ぶことが出来るだろうか、と自問自答するだろう。

 その時、そこに生じる思いをダイレクトに自分で抱きとめること、

 抱きとめてみようとすることが、

 太田監督がこの映画を作るに至った意志のような気がするのだ。

 理不尽なことが横行するのが、当たり前のようにいつからかなってしまった日本。

 そこで歯を食いしばって前に進むことにどれだけの覚悟とエネルギーがいることか。

 色々なことに気づくには早いに越したことはない。

 だからこそ僕は若い世代の人たちにこの映画を観てもらいたい、と願う。

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 泣くことで心は浄化されるという。

 だが、いつまでも泣いてばかりでは、泣かされてばかりでひと心地ついていて、

 その場所で安心してしまっていてはいけないのだ。

 泣いた後に自分の足でどこに向かうのか。

 それをこの映画は問うているのではないだろうか。

 〃意志のある映画〃に出会えることは、幸福である。

 (了)


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