上野の森美術館で12/17まで開催予定の怖い絵展。
今日行ってきたけど、いや~いってよかった。
シャガール展もモネの睡蓮展もフェルメール展も、ほとんどの美術展がピンとこなかった自分でも、今回の展示会は本っ当に感動した。
某掲示板だと悪く言う人もいるけど、やっぱり何事も足を運んで自分の目で見なければ分からない。
内容は他のブログや中野京子さんの解説本があるので、そちらに譲るとして…
このブログでは、実際に行ってみて感じた会場内の様子について書こうと思います。
まず、めちゃくちゃ混んでる。想像してたより混んでた。
会場内はそれほど広くないし、どの絵も解説がついているから、絵の前から人がはけることがない。キチンと並んでいないと、前の方で見ることはできなそうです。
だから、これはどの美術展でもいえそうだけど、最初から最後まで並んでみたほうがいい。まず入るまでに1時間待ちなんてザラだしね、この展覧会。
自分は係員の「並ぶ必要はありません。奥の方の絵は空いていますのでそちらからどうぞ~」という言葉にまんまと騙されて、奥の方から先に見たけどお目当ての絵の前は相変わらず混雑してて、結局一から並ぶ羽目になりました。
ただ「娼婦一代記」という連作のところだけは飛ばしたほうがいいかも。
この絵、どうも非常に人気があるらしく、この絵の前で観覧者達が完全に地蔵と化していました。自分が行った時だけでしょうか。
とにっっっかく凄まじいまでに列の進みが遅い、この絵の前だけ。ちょっとありえない、と思うほど。
その割に、そんなじっくり見るほどの作品でもないような…。ただでさえ作品数も多く、人も多いから神経すり減るのに、ここで時間かけたら最後の「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(公式HPで出てくるあの絵)行く前に力尽きますよ。特に、若くない人…。自分、ここ飛ばしても全部見るのに2時間はかかったからね。
ちなみに自分が行った時は、その「娼婦一代記」の位置からちょうど対角線上のコーナーになってるあたりから並びなおしたら、すんなり列に戻れました。
そしてそこにある古代エジプトみたいな遺跡? 城? の絵がとっても素晴らしい! 遠くから見ると茫漠とした印象だけど、この作品は是非
間近で見てほしい。
細かい描写、奥行き。「よくぞここまで」と思うほど描き込まれていて、個人的にこの怖い展でトップ3に入るほど感動しました。
それにしても「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は素晴らしかった。
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は非常にサイズの大きい絵画で、遠目に見ても十分鑑賞できるので、この絵だけは並ぶ必要がないんですよね~。しかも、前列で見てる人たちがすぐ後ろにはけてくれる。巨大な絵なので、後ろからも見てみたいという気になるのでしょう。だから、待っていればすぐ最前列に行けます。自分も、途中で疲れてすっ飛ばしたりしたけど、この絵はすぐ前に行って見れました。
https://s.eximg.jp/exnews/feed/Excite/bit/2017/E1507838898813_8ab8_4.jpg
近くで見ると、登場人物の感情が痛いほど伝わってきます。悔しさ、憔悴、悲嘆、懐疑心。
何故、無実の王女が処刑されなければならないのか。
会場にはこの絵の解説があるのですが、それによると当時はギロチンができる前で、一発で綺麗に首を切れたできたわけじゃないそう。斧の切れ味は悪く、失敗…つまり一撃で首が落ちないときは、さらにナイフで切り落とす必要があったとか。
左下の女性は王女の侍女で、失神しているらしい。そりゃ、失神するでしょうね。何の因果でこんなイヤな最期を迎えなけきゃいけないのか。時代背景を知ると、怖さ倍増。でも、この絵に関しては、怖さより悲しさの方が際立ってたな。
王女は白い布で目を覆われてるけど、顔の引きつり具合から、その下の目はきっと泣き腫らしているんだろうな、と分かるんです。
あまりにも迫真の描き具合なので、まるで名女優の名演を見ているような…登場人物の泣き声まで聞こえてきそうな絵です。
断頭台を手で探る仕草も、指がこわばって震えている様子も、静止画なのに動いて見える気がする。王女のそばにいる男性は何と言ってるのか分からないけど、王女に同情しているのは凄く伝わってきた。
この絵で一番感動したのは、右にいる処刑人の表情。斧を持っている人ね。
この人だけ、遠くから見ると表情が読めない。↑の画像はそうでもないけど、現場で見ると、ちょっと読みづらいんですよ。
でも近くに行って見上げると、処刑に理不尽さを感じているのが、目元からはっきりと読み取れる。
距離の問題じゃないの? と言われればそれまでだけど、近くで見ると、実際に処刑人がすぐ目の前にいて、彼の伏し目がちな顔を下から見上げているような、非常にリアルな感覚に襲われるわけです。
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」はロンドン・ナショナル・ギャラリーで非常に人気があり、中野京子氏はこの絵を取り寄せられなかったら絵画展を中止する気だったとか。それだけのものなので、この一点を見るだけでも行く価値はあると思いますね。
他に何かいい絵があったかと言えば…「ソドムの天使」は超怖かった。心霊写真的な怖さがあった。あとは「切り裂きジャックの寝室」。不気味でゾクゾクする。
それと、怖くはなかったけど「オデュッセウスとセイレーン」。
http://greek-myth.info/images_up/Sirens01.jpg
一番左下の櫂を漕いでる男が「俺は美女になんて靡かねえ!」といわんばかりに険しい目つきをしていて、ちょっとイケる…と思ったり。怖い絵展全般に言えるけど、どの絵も表情の描き分けが本当にすごい。その絵の人物が考えてること、感じてることが伝わってくる。あとは、ちょっと哲学めいたものも感じられたり。
上の絵は「死せるナポレオン」というタイトルだから、まあ死んでるナポレオン王の絵ですよね。そのまんまなんだけど、実物の絵を目の当たりにすると、このナポレオン王の死に顔から、世の無常観というものが嫌ってほど伝わってくるんですよ。死んだ人特有の、肌の張りの無さがとてもリアル。この王がどんな悲しい末路を辿ったか解説で読んだせいもあるんだろうけど、ある意味怖い絵。
他にもいい作品は色々あったけど、なにしろ作品数が多かったし…あと、正直この展覧会にはあまりいい記憶がないんです。
ブログを書くこと自体躊躇したくらいだし。
(注:こっからはただの愚痴でふ…)
やっぱこれだけ人気の展覧会だと、色んな人が来るわけですよ。
チャラいカップルとか、様子のおかしいお爺ちゃんとか、タックルしてくる周り見えてない人とか…。
で、戦々恐々としながら見てたんだけど、「娼婦一代記」あたりは上記の通り人(地蔵)が多い場所だったんで、それ以外を全部見て最後に「娼婦一代記」を見て帰ろうとしたんです。疲れてたんだけど、見ないともったいないし。
そのもったいない精神が裏目に出た。
自分は身長が高いので、やっぱ遠くから見る人には邪魔らしく…しかも列の進みが遅いから、邪魔する気はなくても身動き取れなかったんです。
ただ、みんな前で見たいから並んでるわけで、自分もその一人。悪く言われる筋合いないわけ。分かる? マジでさ。
なのに後ろのバカップルが
「前の背高い人で見えない~」
「こっちから見ても見づらい~」
「てか身長縮めろよ」
とか言うわけ。
できませんよね、身長縮めるとか。わ・か・る? できません。
ありえない。いろんな意味であり得ない。なんで文句言う人に限ってちゃんと並ばないの?
その横で「娼婦一代記」を薀蓄語りながら見ていた大学生(地蔵)が「要はちゃんと働かないとダメってこと?」とか言ってるし…。
結局、列が進まな過ぎるので、嫌気さして帰りました。出汁入れ忘れた味噌汁並に薄い感想を聞いて帰ったわけです。
で、結局何が言いたいかというとね。こういう人気ある展覧会って、みんな楽しみつつも、ストレスMAXで色々我慢しながら見てると思うんです。不満があるのは皆同じ。だから、我慢しましょうよ。あと、背高い人の悪口言うのはやめて。二度と言わないで。ネヴァー!
結局、絵なんかより人のほうがよっぽど怖いというのを再確認した展覧会でした。