昔むかし、あるところに、
不倫真っ最中の三十路の女がいた。
仕事が終わって、私を呼び出し、
喫茶店で、オイオイと泣きながら言う。
「彼がぁ～、彼がぁ～、
『お前のためなら、死ねる！』ってぇ、
い、言ってくれたのぉ～、
言ってくれたのぉ～（タオルで顔押さえる）
そんなこと言ってくれるひとぉ～
他にいないもぉ～んっ！！」
本人は、ドラマチックな恋愛ドラマの
ヒロインなんである。
なんてったって、絶賛大恋愛中なんである。
「・・・うん・・・うん」 と話を聞く私。
ひとしきり、話を聞いた後、
私はその女に言った。
「その人が、ホントにあなたのために
死んじゃってから泣いたら？
今はまだ早いんじゃない？
それに多分、その人、死なないよ。
あなたのために死なないよ。
試しに平日の夜中電話して、
『死にそうだから助けて、今から来て』
って、言ってみ？
多分、来ないよ」
翌週、その女は無事、男と別れた。
『お前の為なら死ねる』 って
歯の浮くようなセリフを挨拶代わりに
量産出来る男に、女はなびく。
それが出来る男は誠実とは程遠く、
そんなこと口が腐っても言えない人が、
誠実だったりする。
一生に1度だけ言う、
『君のためなら死んでもいい』 と。
毎週言う、
『君のためなら死んでもいい』 は、
値段が全然違うんである。
不器用な理系男子には、
こんな口だけの男どもに、
なんとしても負けて欲しくないねぇ・・・。
PS：不倫男と別れるなら、
相手の都合の悪い時間に、
ジャンジャン電話かけるのが一番です。
おすすめで～す
