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 ベストセラー『ザ・ゴール』の第3弾。2作目までの主人公、アレックス・ロゴは登場せず、まったく新しいストーリーとなっているが、優れた経済小説を書き続ける著者の手腕は、今回もいかんなく発揮されている。
 舞台は、ERPソフトを開発して、急成長中のBGソフト社。同社の共同設立者であるスコットとレニー、営業部長のゲイル、関連システム・インテグレータKPIソリューションズCEOのマギーが物語の中心人物である。
 株式市場にさらなる成長を期待されているBGソフト社は、ある問題に直面している。大企業相手に行ってきたこれまでの営業活動を続けていては、やがて市場が枯渇してしまうという現実である。そこで、経営陣は中小企業にまで営業の対象を広げようとするが、それにはこれまでと同じだけのコストがかかる一方、見返りは少ない。しかも、概してコストにシビアな中小企業の経営者たちは、金銭的なメリットなしにシステム導入などしてくれないのである。
 こんな状況下で、大手の顧客であるピエルコ社のCEO、クレイグから新たな問題が持ち込まれた。「業務の見通しがよくなる」といったあいまいなメリットではなく、導入したシステムがどう利益に結びつくのかを説明して欲しいと取締役会で要請があったというのである。しかも驚くべきことに、調査の結果、利益面でのメリットはほとんどなかった…。
 ここから、シリーズの主題であるTOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)の話が展開されていく。数少ない成功事例を研究してわかったことは、成功に必要なのは、システムそのものではなく、それを活用するためのルール変更なのだということである。空き時間を作らない、部分最適のスケジュールを行うシステムではなく、全体最適を考えたシステム…。そこにこそ利益向上のヒントがあった。改善することで新たな問題が生じるなど、前作同様のやきもきする展開もあり、読みながら問題解決のための複眼的思考が養われる。
 ビジネスパーソンはもちろんだが、今回はソフト会社が舞台だけに、開発者にとっても興味深い内容となっている。クライアント企業への改善提案のヒントになることはもちろん、自身の開発プロセスを見直すうえでも大きなヒントが得られるだろう。(土井英司?

■日経BP企画
チェンジ・ザ・ルール!
TOC(制約条件の理論)を小説仕立てで解説したベストセラー『ザ・ゴール』、『ザ・ゴール2』の著者による新作。今度は情報システム投資を利益に結びつける難しさを鋭く描写している。

本書はERPパッケージ(統合業務パッケージ)・ベンダーが、大手顧客から「ERP導入で利益がどれほど上がったのか」と質問されるシーンから始まる。回答に詰まったベンダー幹部は、顧客企業と一緒に経営面の効果を考え始める。顧客企業とベンダーは曲折を経ながら、業務改革の必要性に気付く。そこでTOC をはじめとするスケジューリングの手法を駆使し、納期順守率や売り上げを伸ばしていく。しかし、今度は在庫の著しい増加に直面。これを倉庫管理担当者への権限の委譲と業務指標の設定を含めた在庫管理ルールの改革によって解決し、最終的に全社の利益を倍増させる。これが“ルールを変える”という書名の由来でもある。

投資対効果を深く考えず、闇雲にシステム導入に走る経営者やIT業界に対する強烈な批判である。方法論も持たずにモジュールを追加し複雑になったパッケージの機能拡張に難渋しているパッケージ・ベンダーに対する皮肉にもなっている。

■出版社/著者からの内容紹介
IT投資によるテクノロジー装備だけでは、利益向上にはつながらない。なぜならルールが何も変わっていないからだ。

■内容(「BOOK」データベースより)
在庫削減を目的にERPを導入。だが、むしろ在庫は増え、利益を圧迫している―いったい、なぜなんだ!?はたして、クライアント企業の悲鳴を解決できるのか!?コンピュータソフトウェア企業BGソフト社を舞台に、新ソフト開発、販売、フォローアップ過程でのさまざまな障壁を乗り越え、他社が真似することのできない競争優位を確立するまでを描く。

■内容(「MARC」データベースより)
在庫削減を目標にERP(統合基幹業務システム)を導入。だがむしろ在庫は増え、利益を圧迫している。なぜ? コンピュータソフトウェア企業を舞台に、様々な障壁を乗り越えて競争優位を確立するまでを小説仕立てで描く。

■著者について
エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)
イスラエルの物理学者。1948年生まれ。『ザ・ゴール』で説明した生産管理の手法をTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)と名づけ、その研究や教育を推進する研究所を設立した。その後、博士はTOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、アメリカの生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた。邦訳のある著書に『ザ・ゴール』『ザ・ゴール2』などがある。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ゴールドラット,エリヤフ
イスラエルの物理学者。1948年生まれ。『ザ・ゴール』で説明した生産管理の手法をTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)と名づけ、その研究や教育を推進する研究所を設立した。その後、TOCを単なる生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、アメリカの生産管理やサプライチェーン・マネジメントに大きな影響を与えた

三本木 亮
1960年、福島県出身。早稲田大学商学部卒。米ブリガムヤング大学ビジネススクール卒、MBA取得。在日南アフリカ総領事館(現大使館)領事部、大和証券国際営業部、国際企画部、国際引受部を経て、1992年に渡米。現在、ブリガムヤング大学ビジネススクール国際ビジネス教育研究センター準助教授として教鞭を執るかたわら、日米間の投資事業、提携事業に数多く携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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