もし‥まだ死ぬ気があるんでしたら、
一緒に死にますか?
会川さんは初読みでした!
今回はあらすじに惹かれて購入。
自/殺志願者二人が
人生を終わらせようとした場所で偶然にも出会ってしまい、
なら一緒に‥ということになるんだけど、
どうせならば最後に贅沢でもしようじゃないか、
人生最後の場所はせめて美しい場所を選ぼうと
奇妙な終活旅行へと出かけて‥‥
題材は暗いし、もちろんエピソード的にも
辛いものも出てくるけれど、
読後感は決して悪くなく「シャイン」という言葉が納得できます。
会川 フゥ著コミック「シャイン★」
シャイン☆ (ビーボーイコミックスデラックス)
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なら、一緒に死にますか? 恋人に裏切られ、会社を不当に解雇され、 人生のどん底で屋上から飛び降りようとしていた原田。 覚悟が決まらずうろうろしていると、 ちょうど目の前のビルで、今まさに飛び降りようとフェンスを越える青年がいた。 なぜかそれをダッシュで止めてしまった原田に、 青年・春日は「一緒に死にますか?」と誘ってきて… 未来を見ずに、寄り添う二人はどこへ行くのか――!? |
結婚しようとしていた女性から裏切られ、
会社からも覚えのない不正の責任をとらされ解雇となったリーマンの原田。
そんな辛いことだらけで死のうとしていた原田は、
飛び降りようとしていたビルの向かい側に
まさに飛び降りようとしている一人の青年を見かける。
思わず彼を止めて話をしているうちに
なら、一緒に死のうとなるのだが、
どうせならと最後の旅行に出かけ、
そこで二人は互いに死のうと至った話をし始める。
旅行はほんの短い間だったけど、
もう一度生きていこうと思えるには十分な二人の時間でしたね。
原田の原因は信じていたもの(恋人と仕事)に手ひどく裏切られたと言うものだったのに対して、
もう一人の自/殺志願者である春日はそれ以上にヘビーすぎて読んでいて辛かった。
原田の場合は確かに今は辛いけど、人によっては
絶対見返してやるぜ!と奮起する人もいるかも知れない。
だけど春日は、これはシャレにならないというか・・・。
春日は可愛い顔をしている。
恋人であるケイも男性だった。
しかもこのケイというのがちょっとヤバい仕事をしていて、
春日にもその仕事を手伝わせていたのよね。
春日は家出少年で行くところがなくケイが拾ってくれたのだ。
ケイに恩は返さなきゃと言われ、Hなことやヤバい仕事を手伝っていたものの、
ある日、ケイの仕事上の上司である男から春日は強/姦されてしまう。
それを知ったケイはその男を殺/してしまい、
元締めである893にケイは春日に全ての罪を負わせろと言われたものの、
それを拒んだため消されてしまったのだった。
ケイの最期に責任と自分への愛情を感じ、自分も同じようにケイを好きなら
命を捨てられると死のうとしていた春日。
でも人ってそう簡単には死ねないのだというのもまた事実。
なかなかこれは立ち直れないなぁ。
だからこそ死を選んだ春日なんだろうけど。
でも原田が自分よりヘビーな過去を持つ青年の春日に
生きる勇気というか、そういうのをもらったのは確かだとは思う。
人は比べてはいけないかも知れないけど、
自分より惨状な身の上を持つ人に出会えば、
自分の悩みはきっとくだらなくてちっぽけなものだったと思うのかも知れないね。
そして春日もまた原田の優しさに触れて
原田には死なずに生きて欲しいと願ってしまう。
ケイの事はきっと春日の中では決して消えない傷となって残ることだろう。
だけど、傷跡は残っても傷口はいつしかふさがるだろう。
それが許せなくて死を決意したところもあるんだけど、
そうじゃない、死ぬことじゃなく、
自分がやってきたことに向き合うことが大事なんだということにちゃんと春日が気付いてくれていたことが嬉しい。
「シャイン」というのはまさにこれからの二人という意味に感じられました。
どんな人生にも光輝くものがあるかも知れない。
サブタイトルに付けられた
The beginning of the end.
終わりの始まり。
二人の人生もそうだし、
再会した二人が今後どんな関係に発展していくのか、
そんなその後も気になるのでした。
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