こんばんは、一大河でございます。
最近は【号外】ばかりで申し訳なく思う一方、
公開を楽しみにしておりました、
『聯合艦隊司令長官 山本五十六』を、本日
観て参りました。
わたくし一大河、長崎の出身ゆえか、小中学生の
みぎり、夏になるとかならず「平和学習」なる
授業が設けられておりました。
まあようするに反戦映画を観て戦争の悲惨さ、
平和の大切さを学びましょうという
それでもって
「戦争映画」と銘打たれた映画は辟易していたのですが、
この『山本五十六』は違いました。
反戦映画でも、ましてや戦争を美化した映画でもなく、
当時の世界情勢、軍令部の腐敗、国民の高揚感、
根拠のない精神論、陸海軍の軋轢……など、
泥沼の戦争を日本は如何に戦ったか、を客観視できる作品であります。
まさに真実の映画。
日本が日米戦争への道を突き進んだのは、中国を裏で
操り、白人至上主義、帝国主義を掲げて日本をじりじりと
苦しめていった米国の策謀にあること。
真珠湾攻撃は最後通牒※を持って行われるはずだったこと。
※結果、最後通牒は攻撃後になってしまい、奇襲攻撃となってしまった。
陸海軍の確執、戦争を煽るマスコミ、世論の後押し、
伝統的大艦巨砲主義による航空機戦闘の軽視……
などなど、偏向した左翼教育では決して知りえない
歴史の真実が、この映画にはありました。
原作・監修が半藤一利先生であったことも一因で
ありましょう。
さて、一大河が最も注目した点が、作品の冒頭に
戊辰戦争のエピソードが語られることであります。
山本五十六の故郷、新潟県は長岡は戊辰の役で焼き払われ……
という話が挿入されていますが、一大河としてましては、
これは暗に、先の大戦に至るまでの経緯は、すでに
戊辰の役の前から始まっていたのだ、というメッセージでは
ないかと思うのです。
戊辰の役といえば、薩摩・長州の新政府軍と、
奥羽越列藩同盟の旧幕府軍が戦った我が国の内戦です。
戦争の原因は、幕末の攘夷派・開国派の争いに発端が
あるわけでして、つまりは、ペリー来航からすでに
太平洋戦争※までの布石は打たれていたんだよ、
ということを示唆していると感じたのであります。
※日本側の呼び方は大東亜戦争。太平洋戦争は米側の呼び名
たかだか「昭和史」という枠組みで先の大戦を
語ることは出来ませぬ。
もっと広い視野を持って太平洋戦争を見ねば、
本当の歴史の真実は見えてこないと思うのであります。
そういう意味でもこの映画、全国の小中高等学校に
「近代史学習の時間を設け、すべからく上映すべし!」
と思う次第にござりまする。
しかし「この作品は、こうだ!」というわたし自身の
考えを押し付けるつもりは毛頭ござりませぬ。
映画というものはどれもそうですが、観る側の人間が
作品を観た後に考え、反芻し、腹に落としこむ。
その作業が必要です。
最後に、作品として観て残念なところは、
海軍式敬礼と陸軍式敬礼が混同されていた点、
「太平洋戦争七十年目の真実」というサブタイより
「大東亜戦争~」にすべしと思った点、
主題歌が作品に合っていない印象を受けた点は
マイナス要因でありました。
しかしながら、山本五十六役の役所広司先輩※を
はじめとする出演陣、および久しぶりの骨太歴史大作
としての偉業、それらを以ってこの映画、
10点中9点とさせていただきたく候。
※役所広司先輩は、一大河と同郷、長崎出身です。
ご覧になった皆様、ぜひぜひ感想などお寄せ
いただきたく候。
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