カバー裏より
『納会帰りに雀荘へ寄った四人のOLが、おしゃべりな男に包丁を突きつけられながら、延々と麻雀をする羽目に陥る表題作ほか、コミカルで、繊細で、温かく、ちょっぴり怖い四篇を収録した作品集。若者の日常に潜むいつもは見えない不安や心のほころび、性の揺れを優しくリリカルに描いた野間文芸新人賞受賞作。』
目次
・BJ
・おしゃべり怪談
・女生徒の友
・ラブリープラネット
これはタイトルに惹かれて読みました。
だって、どうしたって、くらもちふさこの「おしゃべり階段」から取ってるでしょ。
中山手線のようないい男が出て来るかと思ったら、全然でした。
しかも最初の作品は若干ホラー?
BJとはなんぞや?
ハナコがタカオと住むことにした築3年の賃貸マンションには、何かがいるらしい気配がある。
それが何かはわからないので、アメリカで身元不明の女の死体につける名前、ジェーン・ドゥよりちょっとせこい、ベビー・ジェーンと名付けて、なんとか気にしないようにハナコは努力するのだけど…。
最後までそれの正体はわからない。
町内会役員になるともれなくついてくるのかと思ったけれど、そういうわけでもないようだ。
思わせぶりなまま、何の解決もないまま終わる話。
ああ、もやもやする。
4篇の主人公たちはみな、心に屈託を抱えている。
けれど、それをどうしようとする気配がない。
あるがままを受け入れるわけでもない。
もやもやしながら、どこで折り合いを付けようかと思いながら、ずるずると時間だけが過ぎていく。
一番長いのが最後に収録されている「ラブリープラネット」
姉になってしまった元兄とのやり取りなどを読むと、初期の吉田修一のようでもある。
ちょっと寂しいような恐ろしいような日常。
なぜならそこには空洞しかないから。



