
生まれて初めての視力検査は小学校1年生の春ですが、その時にはすでに「仮性近視」と言われたので、人生の中で視力がよかった記憶がありません。
小学校1年生の春と言えばまだ漢字は習っていないはずですが、「仮性近視」とお医者さんが母に言っているのを聞いて「火星禁止」と解釈して「どうしたらいいんだろう?」と悩んだことを覚えています。
結局母に、「どうやって火星を禁止にしたらいいの?」って聞いて、笑われたのですが。
多分学校の健康診断で引っかかって病院に行ったんだと思いますが、「今ならまだ仮性近視」というのが、いつの間にか真正の近視になって眼鏡が手放せません。
そういえば、初めて眼鏡をかけて盆踊りに行ったとき、夜空にはこんなに星があるんだと感動したことも思い出しました。
ということは、裸眼で星を見た経験がないのですね、私。
筋金入りの近視の私は、現在「遠近両用」と「近々両用」の2種類の眼鏡を使い分けています。
本日の読書:股旅新八景 長谷川伸傑作選 長谷川伸
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股旅新八景 (長谷川伸傑作選)
2,160円
Amazon |
Amazonより
『縞の合羽に三度笠、軒下三寸借り受けての仁義旅―渡世人の意地と哀歓を鮮やかに描く股旅小説の決定版!短篇集「股旅新八景」に傑作中篇「人斬り伊太郎」を合わせた全九篇を収録。 』
目次
・八丁浜太郎
・頼まれ多九蔵
・旅の馬鹿安
・小枕の伝八
・八郎兵衛狐
・獄門お蝶
・髭題目の政
・三ツ角段平
・人斬り伊太郎
股旅新八景のほかに「人斬り伊太郎」が入っているので、実は9編収録。
股旅ものと言えば「木枯し紋次郎」くらいしか知らないので、「あっしには係わりがねえ」とは言いながら、なんだかんだで善行を施すのが股旅ものかと思いきや、こいつら全然よろしくない。
博奕打ちなのはしょうがないにしても、共通するのは腕がたつことくらい。
やたら短気でけんかっ早いやつがいたり、サイコパスのように些細なことで人を殺して平然としていたり。
必ずしも勧善懲悪でもなく、読後感がいいとは言い切れない話も多い。
けれど、地の分を挟まずに2~3ページも続く会話のやり取りが実にテンポよく小気味がいいので、そして多少おバカなので、ここで笑っちゃうと大抵のことは許せてしまえる気がする。
女を食い物にする男に対して、超絶格好いい啖呵を切る「獄門お蝶」
義理堅くて男女の機微に疎すぎる段平が可笑しくもぐっとくる「三ツ角段平」
三五郎の純情が大笑いの「八郎兵衛狐」
いちばん好きなのは「八丁浜太郎」
人が生きる意味というのを、さらりと深く教えてくれる。
人の世の営みの前には敵討ちなんて小さなものであると。

