「クライマーズ・ハイ」などで知られる横山秀夫の原作を基に、『感染列島』などの瀬々敬久監督と『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市主演で映画化した犯罪ドラマの後編。昭和時代の最後の1週間にあたる昭和64年に起きた未解決誘拐事件と、新たに発生した類似の事件の謎に迫る。県警の広報官を演じる佐藤のほか、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、三浦友和ら豪華キャストが集結。事件の行く末はもちろん、警察と記者クラブとの摩擦や警察内の対立、主人公の娘の行方など怒とうの展開に目がくぎ付け。

シネマトゥデイ


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前編を観たときは、全く何も知らない状態でした。
登場人物の多さと、対立軸の多さに混乱しながら観終わって、帰ってから小説を読みました。
結末は原作と違うという触れ込みでしたが、とりあえず頭の中に基本データが入った状態で後編を観ました。

原作である小説が、多くの人物を多くの対立を書いているのでしょうがないのですが、映画という限られた時間の中に全てを盛り込むのは無理なんです。
盛り込むだけならできますが、実際できていましたが、理解できるよう、納得のいくように描くというのは無理です。
どこを中心に見せたいのか。
映画としての軸はなんなのか。

前編は総花的にエピソードをつないでいったので、重厚的な作品となったけれどもメリハリに欠けると思いました。

対して今作は、子を失った父親の姿を中心に描いていました。
64の被害者の父。
64を模した誘拐事件の被害者の父。
そして佐藤浩一演じる県警広報官三上。

娘を助けられなかった無念。そして犯人に向ける執念。
娘を助けたいと逸る心。焦り。不安。
生死を案じる心。信じたい気持ち。

前編に比べてとてもわかりやすい作りになっていました。
が、前編と後編で、作品は別物になってしまいました。

後編のような作品にするのであれば、前編をもう少し整理すればよかったと思います。
せっかく大勢の人物が登場し、重層かつ重厚な作品を消化したのに、後編にそれは全く生かされませんでした。
警察内部の権力闘争も、警察とマスコミの軋轢も。
だったら、前編から父親メインのドラマ作りをすればよかったのに。

私としては刑事部の良心ともいうべき松岡が、64の犯人をどうやって見つけたか、に警察の執念を感じてぐっと来たので、それらのシーンが不要とされてしまった今回の結末はあまり好みではないです。

前編を観たとき三上の青さが恥ずかしいと思いましたが、今日は組織人としてあり得ないと思いました。
組織人としてあり得ない行動をとることで娘を思う父親を表現しているので、これはもう好き好きだと思いますが。

でもって、この後編はミステリではなくなっていました。
最後に知るべき出来事が、ネタバレ的にちょいちょい前倒しで出てきます。
とにかく父親を見せる映画(?)なの?

佐藤浩一、永瀬正敏、緒方直人。
この3人の鬼気迫る演技は一見の価値ありです。
あとは、刑事部2課長を演じた柄本祐も熱演でした。


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