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NISA制度について改めて整理します。非課税だという理解だけでは済まされない重要なことです。
1. 背景
日本の金融資産は高齢者に偏在しています。日銀統計によれば、60歳以上が金融資産の約65%を保有しており、若年層や子育て世代には資金が回りにくい状況です。政府はこの構造を是正するため、NISA制度や各種贈与非課税制度を組み合わせて「資産を生前に動かす仕組み」を整備しています。
2. NISAの非課税は“一代限り”
NISAの最大の特徴は「運用益・配当が非課税」である点ですが、このメリットは本人が生きている間のみです。
相続が発生するとNISA口座は廃止され、保有資産は相続財産として相続税の課税対象になります。さらに相続後は時価を取得価格とするため、売却時には再度譲渡課税が発生する可能性があります。
➡️ 特定口座と比べて、結果的に税負担が重くなるケースがあります。
3. 政府の狙いは税金です。これは減税をしない政府を見てもよーくわかります。
非課税に釣られて溜め込んだらその後に税をいっぱいかけて国が回収しますねという狙いがあります。
1. 資産の滞留防止:相続で非課税を剥奪することで、高齢者が「ため込むより使う・贈与する方が得」と感じやすい仕組みに。
2. 世代間資産移転:子や孫のNISAで再投資してもらうことで、若年層の資産形成を促進。
3. 税収確保:相続税+譲渡課税の二重課税リスク
3. 政府の狙い
1. 資産の滞留防止:相続で非課税を剥奪することで、高齢者が「ため込むより使う・贈与する方が得」と感じやすい仕組みに。
2. 世代間資産移転:子や孫のNISAで再投資してもらうことで、若年層の資産形成を促進。
3. 税収確保:相続税+譲渡課税の二重課税リスクを残すことで、財政面のバランスも維持。
➡️ 「一代限りの非課税」という設計は、資産を世代間で循環させる強いインセンティブになっています。
4. シミュレーション
想定条件:70代の方が金融資産5,000万円を保有
ケース① 老後に使い切る
生活費や介護費に充当。
NISAで得られた非課税メリットを最大限享受。
相続税はほぼ発生せず。
ケース② 毎年贈与しつつ生活費確保
暦年贈与(年110万円まで非課税)を数年間続けると、子や孫に非課税で数千万円移転可能。
贈与した資金を子や孫がNISAで運用すれば、再び非課税メリットを享受。
相続財産も圧縮でき、相続税の軽減につながる。
ケース③ 相続に残す
NISA資産5,000万円をそのまま相続。
相続時点での時価に相続税が課税。
さらに相続人が売却すれば譲渡益課税も発生。
➡️ ケース①②と比べてトータル課税が重くなる可能性大。
5. まとめ
NISAの非課税メリットは「本人限定」であり、相続には引き継がれません。
そのため 生前贈与や計画的な資産移転 が、税効率の面でも合理的な選択肢となります。
政府は「老後に使うか、若い世代に渡すか」を迫る設計を通じて、高齢者の資産滞留を解消し、経済活性化を狙っています。
➡️ 資産を「残す」のではなく「どう使うか・どう渡すか」を考えることが、これからの資産形成・承継のカギになります。
ちなみに私は②を選択している。今後も非課税枠という籠を上手く利用する事を考えたい。