正しい商いを共に極めんとする「師弟」であり、尊敬と信頼で結ばれた「同志」――。

商業界創立者の倉本長治とニチイ創業者の西端夫妻は、こう表現すべき間柄でした。

「精神の美しいこと、信念から生まれる逞しさは計り知れない」と倉本は評しました。

ここでは「平凡なる非凡人」西端行雄さんのエピソードを紹介します。

 

昭和47年、大阪の商業施設で火災が発生、階上の飲食店で百十数名が亡くなりました。

火元はニチイが入居していた階で、そのとき売場は大家によって改装工事の最中。

原因は工事業者と思われるものの、原因究明には時間がかかり、被害者は救われません。そこでニチイは先駆けて遺族に多額の見舞金を送ったのです。

 

「西端という人は自分の側に過ちらしきものが少しでもあってはならぬとするが、他人のためにはどこまでも常におもいやりが深かった。自分については何ごとも極めて厳格であった。万事について、そんな人柄であった」

倉本はこの一件を踏まえ、こう書き残しています。

 

そのニチイは西端さん亡き後にマイカルとなり、イオンに救済統合されています。

しかし、そのことによって西端夫妻の功績は決して色あせるものではありません。

慈愛真実の商人、西端さんは「仏」と言われた商人でした。

商いに“人の心の美しさ”を追求した生きざまを、私たちは受け継がなければなりません。

 

【今日の商う言葉】

人生の生き方も

商売の在り方も

突き詰めていくと

おもいやりにたどりつく