1984年、リドリー・スコット監督作品、ハリソン・フォード主演。

 

リドリー・スコット監督は、大物である。しかし、アカデミー賞とは縁がなく、前にも言ったが「グラディエーター」のみ。ほんと、縁がない。

 

当時のハリソン・フォードは、乗りに乗っていた。「アメリカン・グラフィティ」「スター・ウォーズ」「レイダース」と、このころは凄い役者であった。

 

そんなハリソン・フォードがスコット監督の作品に出る…この作品は、それほど期待されていたのだろう。

 

ネオ・ノワールを基調とした暗く退廃的な近未来のビジュアルは、公開当初こそ人気を得なかったものの、後発のSF作品に大きな影響を与え、いわゆる「サイバーパンク」の代表作の一つと見なされている。

 

美術デザイン、VFX、衣装デザイン、そして音楽も独自の世界観の確立に貢献したと言っても過言ではない。

 

リドリー・スコットが「彼女は完璧だった」と評したレイチェル役のショーン・ヤング、そしてプリス役のダリル・ハンナも本作をきっかけに注目されるようになった。

 

作中の風景に日本語が多く描かれている理由は、スコットが来日した際に訪れた新宿歌舞伎町の様子をヒントにしたとされている。このことが日本人観客の興味をひくことになり、これらのシーンへのオマージュ・議論が生まれることになった。

 

また、スコットは都市の外観は香港をモデルにしていることを述べている。なお、香港が制作費の大半を出資したために本作は事実上アメリカ・香港合作となっている。

 

1993年にアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。

その他、「視覚効果面で最も影響力がある50本の映画」で第2位にランクイン、映画監督・作家・科学者・評論家など150名が選定した「SF映画ベスト100」にて、第2位にランクインした。

 

しかし、主演のハリソン・フォードは、この映画については長年否定的であった。これは、興行的に失敗したことの他に、撮影が一旦終了したにも拘らず、何度も追加撮影のために呼ばれたのに我慢ができなくなったことによるという。

 

また、レイチェル役のショーン・ヤングが、撮影中にハリソン・フォードから乱暴に扱われたという理由で、不仲のまま撮影が行われたという経緯がある。

 

しかしショーン・ヤングは、ある時期からは「本作以降出演作を自由に選べるようになった」と述べるなど、態度を軟化させるようになり、積極的ではないがインタビュー等にも答えている。その後、続編となる「ブレードランナー2049」への出演も快諾している。

 

好き嫌いはあろうが、リドリー・スコット監督は「エイリアン」に次ぐSF作品となる本作でも、卓越した映像センスを発揮したのである。

従来のSF映画にありがちだったクリーンでハイテクな未来都市のイメージを打ち破り、環境汚染にまみれた酸性雨の降りしきる、退廃的な近未来の大都市を描いたのだ。

 

これは、シナリオ初稿を書いた人物が、フランスの漫画家メビウスが描いたバンド・デシネ短編作品「ロング・トゥモロー」(原作は「エイリアン」の脚本家ダン・オバノン)での、「混沌とした未来社会での探偵の物語」をイメージしていたためだった。

 

劇中の無国籍で混沌としたロサンゼルスのイメージは、メビウスの作品そのものである。スコットは映画のスタッフにメビウスの参加を熱望したが、他の作業に携わっていた彼は、衣装デザインのみの参加となった。また、インタビューでは度々他の作品の世界観を参考にしたとの発言が出ている。

 

とまぁ、難しくややこしい。

ブログでこうだから、本なんか読むとおかしくなる。

 

数々のマシン・拳銃・ロケに使用された場所などなど、本当に凄まじいエネルギーを感じる。おかしいよ、あんたたち。

 

そんな陰のエネルギーが、未だに語り継がれる映画となっているのも必然であろう。