1991年、ジョナサン・デミ監督作品。

デミ監督については、昨日「フィラデルフィア」で書いたので、そちらもよろしければご覧ください。

 

出演:ジョディー・フォスター、アンソニー・ホプキンス。

 

第64回アカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚本賞という主要5部門を受賞。この名誉は、「或る夜の出来事」「カッコーの巣の上で」に続く3作目である。

 

また、作品賞を受賞した、唯一のサイコ・ホラー映画。

2011年にはアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録された。

 

アメリカ各地で、若い女性を被害者とする連続猟奇殺人事件が発生。川へ遺棄された遺体から皮膚が剥ぎ取られていたことから犯人は「バッファロー・ビル」と呼ばれた。

 

FBIアカデミーの実習生クラリス・スターリングは訓練中、クロフォード主任捜査官のオフィスに呼び出される。クロフォードは、バッファロー・ビル事件解明のために、監禁中の凶悪殺人犯の心理分析を行っていたが、元精神科医の囚人ハンニバル・レクターは、FBIへの協力を拒絶していた。

 

クラリスは、クロフォードに代わって事件に関する助言を求めるため、レクターの収監されている州立精神病院に向かう。

 

レクターはクラリスに興味を持ち、協力するともちかける。レクターやクロフォードの強さと底知れなさ、更に殺人事件に携わることへの緊張感から、クラリスは目を背けてきた記憶を引き出される。

 

クラリスは保安官だった父親の突然の死、更に引き取られた牧羊家の叔父の家で羊が屠殺されるのを目にし、衝動的に逃がそうとした過去を明かす。夜明けに来るだろう死を前にしても羊はただ動かず、必死にもがいても何もできない恐怖は、牧場を去り施設に入れられて大人になった現在でもクラリスの心に染み付いていた。

 

クラリスは、レクターが示唆した数々のヒントによって、犠牲者たちの足跡をたどり、訪れたある民家に住む男性がバッファロー・ビルであると確信する。

 

人質を殺害する周期に当たっているため規則に反して単身で民家の地下室へ踏み込んだクラリス。恐怖のなか暗闇の中でもがくが、間一髪で犯人を射殺し、人質を無事助け出す。

 

事件は解決し、その後、同期生たちと共に正式なFBI捜査官となったクラリスの元に、レクターから電話が入る。緊張するクラリスに対してレクターは、彼女の心にある羊たちの鳴き声が消されたかどうかを尋ね、事件解決と捜査官への就任を祝福し、「古い友人を夕食に呼んでいるんだ」(I'm having an old friend for dinner.)という言葉でチルトン殺害をほのめかして通話を終えると、彼の背中を追って人混みの中に姿を消す…

 

アンソニー・ホプキンスによると、レクター博士が発する声は「2001年宇宙の旅」のHAL9000の声と、作家トルーマン・カポーティの話し方を参考にしたという。

 

レクター博士はスタジオ側がショーン・コネリーを希望したが、コネリーはオファーを拒否。

 

また、クラリス役は当初、ジョナサン・デミの希望でミシェル・ファイファーとメグ・ライアンが候補に上がるが、2人ともオファーを辞退。

 

因果なものである。

この役を受けていれば、作品ともに「名誉」が手に入ったのに…

 

ショーン・コネリーが、今さら「名誉」なぞこれっぽっちも欲していないとは思うが。

 

こんなビンボー根性は、ボクだけだろう。