昨年「BLUE/ブルー」と「空白」が立て続けに公開された吉田恵輔監督の最新作。
現代社会において大きな影響力を持つユーチューバーたちの人間模様をシリアスに描いた秀作。

現在、子供たちが将来なりたい人気職業となっているユーチューバーであるが、彼ら彼女らに包含される光と闇の部分を丹念に描き、観る者に強く訴えかけてくる作品だ。
印象深いのは、ユーチューバーのサイン会で「自分も将来ユーチューバーになりたい」と言う中学生とおぼしき少女に対し、優里(岸井ゆきの)が「ユーチューブの映像は、音楽や映画のように世代を超えて残るものでは無い」と答えるくだり。
これには、脚本も担当した吉田恵輔監督の「映画の持つ力を信じる姿勢」がしっかり見て取れて、胸がすく思いであった。

主演のムロツヨシ、そして岸井ゆきの、若葉竜也は見事のひと言。
彼らの安定した演技は、観客を複雑に絡み合うユーチューバーたちの世界に引きずり込むのに十分な魅力に溢れている。

 

☆☆☆☆(星4つ)【6月24日観賞】