まいどっ。

 ちゃみでっす。

 え~と、今回は、うぬ? 蒼辰が、愛を、語る?

 そんな・・照れちゃいますよ、ちゃみ。

 なにもここで告白しなくったって・・・。

 え? 違う?

 あ~、そ~。

 じゃないかとは思ってましたけどね。

 そいで?

 どんな愛を語るんです?

 えふわん?

 なんだそれ。

 どっかの駅前ビルかなんかですか?

 それとも地場スーパー的な?

 じゃない。

 じゃ、なに。

 アルファベットのFに、数字の1。

 F1。

 あ~あ~、自動車レースの。

 それで、なんお愛を語るんですか?

 蒼辰の、F1愛。

 どひゃっ。

 

 そういや、蒼辰、F1好きですもんね。

 あれですか、やっぱ、セナとか、そんな時代から?

 え? ふざけんなって、なに怒ってるんですか。

 それどころか、ジム・クラークの頃から、ですって?

 誰っすか、それ。

 60年代の、伝説のレーシング・ドライバー?

 60年代って、昭和の?

 じゃなくって、1960年代。

 どんだけ昔なんだよ。

 え? 俺の興味は、それどころか、今から100年以上前にまでさかのぼる、って、どこまでさかのぼるんですか。

 そもそも、そんな昔じゃ、F1、やってないでしょ。

 いやいや。F1に至る自動車レースの歴史が滔々とあ流れている・・・。

 は~あ。

 ちょとため息が出てきました。

 

 じゃ、分かったからさ、語ってくださいよ、そのF1への愛を。

 F1マシンを見たことがあるか、って?

 そら見たことくらいありますよ。

 あれでしょ、なんかとんがってて、長っぽそいとこに、タイヤがよっつ、ひょこひょこって出てるやつでしょ。

 そいで?

 あれ、運転手だけしきゃ乗れない。

 確かにね。

 そもそも、自動車というのは、人や荷物を便利に運ぶために、人間が作り出した物である。

 ま、そうですね。

 なのに、F1マシンは、人も物も運べない。

 うん。

 人も物も運べない、自動車として成立していない自動車。

 いかに速く走るか、その一点に特化した自動車、それこそが、F1の魅力の源泉である、と。

 いいっすね。

 だいぶ熱が入ってきましたよ。

 

 そして・・・。

 よくレースで鍛え上げられた技術が、市販車にも生かされているみたいなこと、はぁはぁ、自動車好きの人はよくそんなこと言いますよね。

 あれは、違う。

 蒼辰、ちょと唾飛んでます。

 なにが違うんですか。

 レースが、自動車の技術の実験場であるかのような言い方は、メーカーの言い訳だ、と。

 なんの言い訳なんですか。

 自動車の進歩のためにレースがあるんじゃない。

 レースに勝ちたい。その情熱こそが、自動車を進歩させてきたんだ、って?

 そうなの。

 なんかよくわかんない。

 んじゃ、分かりやすいとこから説明しよう。

 はいはい。

 ルマン24時間レースってありますね。

 F1じゃないけど、レース仕様のクルマが24時間走り続けて、誰がどんだけ走ったか競うやつでしょ。

 あれ、1923年大正13年に始まったんですか。

 ヒョエっ、そんな昔からやってるんだ。

 そのルマンで初めて登場した技術がいくつもある。

 ほうほう。

 例えば、ヘッドライト。

 え?

 24時間レースだから、夜も走る。そこで、闇夜でもスピードを落とさず済むように、開発された。

 はぁ?

 さらに、ワイパー。

 えっ、ワイパーも?

 はいはいはい。雨の中でも速く走りたいからくっつけたわけね。

 そういうのって、クルマの安全のためにあるんじゃないんですか?

 そもそもから言うと、レースに勝ちたいがために、新技術として採用された。

 なんか、ちょっと、屁理屈っぽいけど、ま、いっか。

 愛だものね。

 

 さらに・・・。

 20世紀に登場した複雑な道具、飛行機は、第一次、第二次、二つの戦争で鍛えられ、進化し、進歩した。

 はぁ。

 宇宙ロケットもまた、宇宙へというロマン意外に、軍事的に利用しようとする人たちがいる。

 まぁ、よくそんなこと言いますよね。

 しかし、F1マシンは、どうひっくり返っても、軍事的に利用はできない。

 すなはち、どこまでも平和とともにあるのが、F1なんだ、と。

 まぁ、よく言いますよね。オリンピックとかでもさ、スポーツは平和じゃないとできない。だから、平和の象徴なんだ、みたいなこと。

 そうそうそう、って?

 F1と自動車レースもまた、オリンピック側と同じ、平和の象徴なんだって言いたいわけね。

 まぁ、そうなのかもしれないけど、どうなんでしょ。

 

 ちょっと、蒼辰、長くなってきたから、まとめてよ。

 ほいじゃ、いくよ。

 自動車というものは、自動車レースという20世紀的なスペクタクルに愛を感じ、情熱を捧げた人たちによって、進歩したんだ、と。

 今も大きな自動車メーカーがレースに参戦するのも、技術開発のためでも、宣伝のためでもない。

 自動車作りに関わるヒトたちの魂に、自動車への愛がある限り、レースというスペクタクルでの勝利を熱望することは、愛への奉仕なんだ、って?

 おいおいおい。

 マジかよ、んっとに。

 でもまぁ、魔力みたいなものはあるんだろうね、きっと。

 てなことで、今日はこんくらいにしときましょ。

 これから、ちょくちょくF1の話題、挟んでくるらしいけど、ま、例によって、暇つぶしにお付き合いくださいまし。

 ただし次回は、F1の話じゃありません。

 蒼辰って、他にも愛を語りたいもの、ありそうだからなぁ。

 ハラハラと見守ってやってくださいまし。

 ほいでわまたっ。

 ちゃみでしたっ。