「タイタニック号の沈没」

 

                加 藤 高 穂

 

 「主よ、み許に近づかん」と歌う讃美歌第1編320番は、史上最大の海難事故を起した英国の豪華客船・タイタニック号の名と共に、私どもの記憶から消えさることはないだろう。

 1912年4月14日、サウサンプトン港を出航。ニューヨークに向かう処女航海の途中、翌日未明、北大西洋ニューファンドランド沖で氷山と衝突・沈没した。乗客・乗務員2,224人中、1,513人が亡くなったと伝えられる。

 感動的なのは、沈みゆく船の甲板にあって、一群の人々が船もろとも氷の海に姿を没するまで、「主よ、みもとに近づかん」と歌いつつ逝かれたことである。

 また、北米大陸の最高峰マッキンリー山(標高6,194㍍)は、在職中、無政府主義者の凶弾に倒れた米国25代大統領マッキンリーの名に因む。彼が最期の息を引き取る中で歌ったのも、この讃美歌だった。

 そこで強く覚えしめられるのは、主イエス・キリストの愛以外にない。生命の主イエスを受けしめられた人々は、自分たちが暗黒の死に呑まれ、冷たい海に沈むのでない。死を超えた所から、両手を大きく広げ、懐深く自分たちを喜び迎え給うイエス様のお姿を拝していたのだ。ひたすら、神に帰るという気持で死んで行かれたのである。

 主イエスは「心乱すな。神に信じ、我に信ぜよ」と仰せられ、準備ができたら、自分の所に居らせるため、迎えに来ると約束された。人生、いつ、いかなることが起きるか分からない。

 だが、主の恵みとして、与えられた時の間である。先立ちの主を拝しつつ、共に歩ませて頂きたい