「私は全2」

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はじめての方、ようこそ。再来、応援してくださっている方にありがとうございます。ハクジュと申します。集団ストーカー被害記録と、趣味のファンタジーといろんなジャンル書いてます。ご興味のある方はこちら。
 
ファンタジー過去作品はこちら。お時間のない方は作詞シリーズが短くてお手頃かと思います。

 

前回までのあらすじ

皐月は集団ストーカー被害で苦しんだ末に、精神科あさかの丘病院に入院させられた。病院から外出制限を受け、全ての情報を与えられず、保護者の兄からは虐待された。

 

登場人物

片桐皐月(二十代)、片桐博隆(三十代)……母親に差別されて育った兄妹。博隆が皐月の見舞いに来るのは五か月に一回。

 

【私は全2】

 

 皐月の首の医療用器具は取れたが、それでも医療関係者から医療器具についての説明はなかった。ある時、皐月は食道の不調から院内でレントゲンを撮ることになる。その時、初めて自分の頸椎に医療用の金具が入っていることを知った。

 主治医の福山に説明を求めたが、横山市大のやったことだからわからないと聞かされた。福山は家族が説明を受けていると主張する。そこで皐月は博隆に説明を求めたが、医者のやったことだからわからないと聞かされた。

 

 病室で私語はほどほどに、というルールになっている。家族が面会に来た人は面談室で会うのが基本だった。博隆は女性病棟には入りにくかっただろうし、そうでなくとも彼は皐月と面談室で二人きりを好んだ。彼はそこで彼女向かい合って座る。彼女は言った。

 「退院したいの」

 彼は訊ねた。

 「自分の事、どのくらいわかってる?」

 「全然わからない」

 「じゃあ、まだまだだな」

 

 彼は次に来た時、面談室で訊ねた。

 「自分の事、どのくらいわかってる?」

 「私は統合失調じゃない」

 「じゃあ、まだまだだな」

 

 彼は次に来た時、面談室で訊ねた。

 「自分の事どのくらいわかってる?」

 「統合失調です」

 「やっとわかったようだな」

 博隆は母親のネグレクトによる栄養失調で身長が伸びず、同じ被害者の皐月を攻撃した時だけ母親に褒められたため、母親の他界後は歪んだ大人に成長していた。体型は醜く崩れ、いつも健康を損なっており、一年中怪物のように真っ青だった。

 「じゃあ、おれより上にならない程度の情報提供だけはしてやってもいいぜ。おれに抵抗して、おれや病院側の解釈と違う考えを持ったら、また情報弱者にしてやるから覚えてろよ」

 「どうしてそんなに私を憎むの」

 「お前が悪いからだ」

 「私は罪なんか犯してない」

 「うん、そうだな。でも本人が悪い奴っているのさ。おれと同じ考え方をしたらいつも通り、自分を何一つ持てない妹がサルみたいに真似をしたって憎んでやる。お前が悪いからだ。けれど反対に、お前がおれに抵抗して、おれと病院側の解釈と違う考えを持ったら、それも許さない。お前が自立した思考を持たないように、また虐待して服従を教えてやる。お前が悪いからだ」

 「矛盾してるじゃないですか」

 彼は汚い歯列で憎悪にまみれた笑みを浮かべた。

 「矛盾するのはお前が悪いからだ。これを暴力の一種、ダブルバインドという。やられて当然なんだ。あたしってかわいそうって思ってるんだろ? 本人が悪い奴っているのさ」

 (続く)

 

 

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