いつもありがとうございます。ハクジュと申します。集団ストーカー被害者で、創作書いてます。

 
ファンタジー過去作品はこちら。お時間のない方は作詞シリーズが短くてお手頃かと思います。
 
前回の話はこちら
 
最初から読まれる方はこちら
 


 

【狂気のビート3-1】 

 

 鎌田は部下を問いただした。

 「岬、どういうことか説明しろ。沢渡といさかいがあったにしても刈谷のシナリオ変更と何の関係があるんだ」

 「いさかいなんかないよ」

 岬が鼻で笑ったので、鎌田はその無礼に不快感を覚えた。




 「何だ、その口の利き方」

 「あのピアスは盗聴盗撮機であると同時に、おれが手を加えた正真正銘の被害データ記録装置さ」

 「岬――お前は何者だ」




 突然屋内に純白の花吹雪が吹き付けた。岬は逆巻く花の乱の中で一度見えなくなり、もう一度鎌田の視界に入った時は異様な容貌に変わっていた。




 濃いめの青紫にふちどられたヘリオトロープのローブと装飾品を身体に巻き付け、顔とはだけた胸には真紅のボディペイント。




少し下がり気味の獣の耳を持ち、手足もそうだが、背中からうなじ、顎に至るまで獣毛に覆われている。



そして巨大な鎌――デスサイズを手にしていた。彼は鎌田の質問に答えた。「死神さ」




 鎌田は迷わなかった。「曲者だ。お前たち何をしている」

 しかし、広々としたコンピュータールームに応えはない。




花の乱が鎮まると同時に人気がなくなり、いるのは鎌田と死神を名乗る岬だけになっていた。死神は言った。

 「じゃあ、遊んでもらおうかな」




 

 死神は笑いながらデスサイズを鎌田に向かって振りかざした。鎌田は凍り付いて動けなかったのに、狙いを外したのか巨大な凶器はコンピューター操作部にヒットし、機械を盛大に粉砕した。操作部は回路がショートしてバリバリと放電した。




 死神は自分の失敗に慌てる様子なく、どことなくうっとおしそう。妖艶でアンニュイなしぐさでデスサイズを操作部から引き抜いて構えなおした。




  鎌田は恐怖で声をあげて逃げまどいはじめた。逃げ道にもデスサイズが飛んできて、壁も座席も粉々にしてしまった。




半獣の死神がけたたましく哄笑する。

 「あはははは、踊れ踊れ。ひまりさんみたいに!」




 飛んでくるデスサイズは鎌田が間一髪よけるので、別のところにばかりヒットする。コンピュータールームはダイナマイトでも仕掛けているかのように粉砕し続け、穴と残骸だらけになった。




 鎌田は恐慌した。デスサイズが自分に命中したら即死――いや、違う。急所は狙ってない。鎌田は悟った。死神は鎌田を身体障害者に仕立てるような攻撃ばかり仕掛けてくる。





死神は楽しそうに踊り狂って狂宴を続けた。

 「踊れ虫けら。腕をもいで足をもいで、死なないように飯を流し込んで、一生トイレで飼ってやるよ」




 鎌田は部下にも知らせていない非常ボタンの場所にたどり着いた。ボタンを押す。コンピュータールームはスモークで一面灰色になる。鎌田は隠し扉から鶴ヶ峰支部を脱出した。

 



 「あなた、血相変えてどうしたの」

 「わからない。とにかく鶴ヶ峰支部がおかしい。今すぐ横浜支部へ逃げる」

 鎌田は自宅に飛んで帰り、妻を駆り立てて家を出た。




車を走らせる。車内の夜のニュースは友の会と対決している組織、ハーメルンによる友の会鶴ヶ峰支部陥落を知らせていた。

 「死神がやったんだ」

 「あなた、どういうこと?」




 鎌田はその後、妻と一緒に友の会横浜支部の庇護下に入り、安全を確保した。彼は肩の荷を下ろし、数日後の昼下がりはハーメルンに見破られないように伊達メガネで変装して支部周辺で羽根を伸ばしていた。




するとある時、道路でクラクションが鳴り、鎌田は一瞬でトラックにはねられた。

 (続く)