はじめての方、ようこそ。再来、応援してくださっている方にありがとうございます。ハクジュと申します。私の記事の紹介です。内容の触れ幅が大きいので、ご興味を持たれた方はまずこちらをどうぞ。

 
以下はフィクションです。警察、裁判、刑務所のことあまり調べないで書きました。全てファンタジーです。アンハッピーエンドが苦手な方にはおすすめしません。
 
前回の話
 
[祥子②]
 
祥子は刑務所の中で薬づけにされ、怠け者と呼ばれ、ブタのように働かされた。彼女は刑期を終えると、翌日踏み切りに飛び込み、自らこの世を去った。
 
首相の国分は祥子死亡の知らせを聞いて歓声を上げた。
「これは国をあげて祝わなければ」
 
翌日の日本は年末年始より華やかな様相になった。アルバイト青年の結城が自宅で声を上げる。
「ええっ?! バイク買ってくれるの」
彼の母は上機嫌でにっこりした。
「今日は特別。国の敵が死んだのだもの。奮発してあげちゃう」
「ありがとう母さん。僕、今日お手伝いする! 何したらいい?」
「じゃあ大根買って来て」
「わかった! 大きいの買ってくる」
彼は喜びいさんで買い物に出た。街は歓喜で溢れていた。
晴れ着姿の若い娘。
バーゲンづくしの百貨店。
ビールをシェイクして吹っ飛ばす中年。
紅白の着物を着た老人達。
「ありがとう、祥子」
「ありがとう、死んでくれて」
「日本に集団ストーカーはいないんだ。全部祥子の妄想だったんだよ」
「死人に口なしだ、バンザイ」
 
国会議員も赤い絨毯の宴席で盛り上がる。国分が音頭をとった。
「この素晴らしい日にお集まりいただきありがとうございます!」
警察幹部と医療、メディア関係者も招待されている。
「やったあ! 祥子が死んだ! この日を待っていたんだよ」
「何しろ法に抵触することできないからね」
「自殺してくれるの待つしかないんだ。十年は長かったよ」
「十年間盗撮した映像は、海外で“ブタの生態”として高く売れる!」
「被害者が死ねばもう慰謝料を迫られる心配もない! これで国費はガッポガッポ稼げるんだ」
「十年分のDVD! 祥子ありがとう」
「最初は美しかったのに、デブになったりガリガリになったりするの面白かった。オ〇ニーなんか笑えたね!」
「DVDのテロップは、“私ブタです。きれいになりたいの”にしよう」
「いや、“デブが今吐きます”のがいいって!」
「祥子がブログで証拠をあげ始めた時はいつ対処に迫られるかヒヤヒヤしたけど、日本の政治はついについにブタに勝ったんだよ!」
「そうだ! 集団ストーカーは存在しないんだ! 自分が被害者にならなければそれでいい」
「ありがとう統合失調」
「ありがとう摂食障害」
「ありがとう祥子!」
 
宴席は盛り上がり、出席者達は贅を尽くした料理を食い散らかした。あまりの旨さに最後に犬食いになる。揃ってストレッチしないスーツ姿でぶくぶく太り始めた。
「こっちの黒毛和牛、たまんないな」
「いや、こっちの大トロだよ」
「やっぱウナギとカニだろ!」
皆が風船のように膨らみ続け、ジャケットのボタンが全て弾け飛ぶ。一同はどっと笑いにわいた。
「ありがとう統合失調」
「ありがとう摂食障害」
「ありがとう祥子」
「祥子に乾杯!」
 
大柄な男たちがますます大きな球体になると、宴席は隙間がなくなった。ぎゅうぎゅうの男たちは、きっと遠目に見たら巨大な筋子の塊だ。これはごちそうを食べてる場合ではない。
「押すなよ」
「そっちこそ」
「あっ、もうダメだ」
国分は仲間が端から一人ずつ爆発し始めるのを確認した。でも何故だか気持ちいいのだ。メスのダニが出産する時に破裂してしまうが、彼女も快感に叫んでいたのだろう。ついに国分の番が来た。彼も嬌声をあげて暴発した。
 
一月後、結城は職場のコンビニで国会後日談の噂を聞いた。
「ものすごい悪臭だったんだって」
「黒毛和牛もウニもイクラも、全部ミンチの汚物になったそうだよ」
「国会も大破して、あまりの汚なさに再建不可能なんだって」
結城は訊ねた。
「議員いなくなったけど、次にどうなるの」
「政治の担い手がいないんだ。もうアメリカの植民地になるって決まってるんだって」
「そうなんだ」
(終わり)
 
 
 
[あとがき]
 
私のダークファンタジーは過激だとカウンセラーが言っていました。私は何も感じません。恐くもありません。ファンタジーっていいですね。何書いても妄想って差別されないから。
 
失礼いたします。ご覧くださった方に感謝。