腰が抜けて這うようにしがみつくおばあさんに
「おばあさん、大丈夫」
と言いながら手を振り解き、仲と布団を被りながら走った
途中で俺は家族のところに行くと行って仲と別れた
逃げている途中、同級生の清ちゃんに合った。
「家族を探しに行くんだ」
「俺も今から帰る。気をつけてな」
そう言って別れた。
しかし、行く道は両脇の家が燃え、ものすごい熱さで通ることが出来ない
諦めて山を超えて行こうとしたその時
「おい、学生か?」
兵隊10人ぐらいが居て声をかけられた
「はい、中学二年です」
「どこ行くのか?」
「西本町の家に行きたいんですけど」
「西本町は全滅だ。どちらにしても今は無理だ。しばらくここで待て!その間こっち手伝え!」
そう言って学生帽を取って鉄で出来た帽子を被せてくれた
「こっち来い!」
そこは国鉄の車両の修理工場で燃えてしまっている。
言われるがままに消化ホースを運んだ
しかし、置いてあるドラム缶がものすごい音を立てて破裂し始めたのだ。
「マズい!これじゃ無理だ!」
「仕方ない。行くか?こっちは無理だからあっちの山から行け!」
山を超えて行くと
「しげおー!」
家族が防空壕の山にいた
B29も居なくなり、夜になって、仕事で他に出ていた父親や姉も帰って来た
防空壕の中は熱くて中に居られないので、みんなその前の広場でゴザを敷いて休んだ
次の日の朝、逃げる途中で会った清ちゃんの家族が死んだと聞いた。
家族が非難していた防空壕に何十発もの束になった不発の焼夷弾がそのまま落ち、その下敷きになってしまったそうだ。
仲の家族はみな無事だった。
そして周囲を歩いていると人間の足が一本落ちている
近くの同級生の足だった。
勉強の出来るヤツだった。
67年前の今日、家が戦争で焼けたんだ…