佐藤愛子著「冥途のお客」を読み、その中の一項で触れている「奇蹟の輝き」というアメリカ映画を知ったのは10年近く前のことになるだろうか。

愛子先生のところには、あの世からのお客が様々おいでになった。
招いてもいないのにアポなしでいらっしゃる。
何かの怨念を訴えて来る霊や悪戯好きな霊の方々。
どうも先生の、好奇心旺盛で強気な性格を見込んでのことらしい。

そんな霊たちとの長年の関わりから、人間死んだらそれでオシマイではないこと、魂はあの世で存続することを確信した先生だからこそこの映画が目に留まったと思われる。
この映画が制作されたアメリカでは死後の世界をどう考えているのか、先生は興味深く視聴された。

実際、映画で描かれている死後の世界は、大体が先生の考える通りだったとのこと。
私自身も同じ捉え方をするため、先生がかいつまんで書いているあらすじを読んで、視てみたいという思いを持ちつつも10年が経過。

1998年の作品のため、レンタルDVDショップで何度か探してみるも取扱いなし。
諦めの境地をさ迷っていたところネットレンタルや動画にあるのを発見!
YouTubeに無料のダイジェスト版と有料の完全版があり、取り敢えずダイジェスト版の方を視てみた。
しかし10年もかかったのだ、これでお茶を濁す訳にはいかない。
ついに全編視聴した。

死んだら天国に行くとか地獄に行くとかよく言われる。
実際は天国だの地獄だのという「場所」があるわけではない。
死んだ時の心持ち次第で天国のように感じるか、地獄のように感じるかの違いだ。
つまりあの世は想念の世界だから。

この映画「奇蹟の輝き」に登場する女性は、子ども二人を事故で失い、その数年後に夫までも事故で亡くす。
重なる不幸に精神に異常を来し、自殺してしまう。
女性はその時の精神状態のままあの世に移行するわけだから、そこが花咲き乱れ鳥歌う天国であるはずがない。

暗鬱な風景の中に建っている廃屋で女性は心を閉ざしたままじっと蹲っていた。
あの世に先に行っていた夫は妻の様子を見て、そこから救い出したいと思う。
しかし妻とは居る場所(=あの世での階層)が違うため、会うのは不可能なのだ。
会うためには地獄にいる妻が這い上がらなくてはならない。

夫が事故死したのは運命であり、その時が寿命だったと謂える。
寿命を全うした人の魂と自殺した人の魂が行く場所は違う、というのはアメリカでも同じ見解のようである。
人生を寿命まで生き切った者と途中で放棄した者の心持ちが異なるのは当然だろう。

ところで自殺は「骨折り損のくたびれ儲け」だと聞く。
死ぬことで何かから逃げたつもりでも生まれ変わった時、前回逃げた地点に再度立たされるという。
なんとしても苦難(=課題)はクリアしなければならないからだ。

人は魂の向上を目的に、この世で修行するため生まれて来る。
修行つまり課題の内容や期間は人それぞれであり、苦難を乗り越えることで魂は磨かれ、向上できる。
修行したいと望み、自ら課題を決めてこの世に来たのに、それを投げ出して帰って気持ちは救われるだろうか。

愛する家族と死別してもなお生きてゆくことが課題だとしたら、難易度の高い課題だとは思う。
魂は自分がクリアできると踏んだ課題を選んでいるとも聞く。

映画では、地獄の階層にいる妻を夫が救い出すことに成功する。
自分の修行成果に相応しい階層に行けた魂が遥か下の階層に移動できるものなのかはわからないが、そこは物語。
地獄の底で夫の顔さえ忘れかけた妻の心を救ったのは愛の力という結びになる。

邦題「奇蹟の輝き」

実はこの映画を知ってから実際に視るまでの約10年の間に、夫役を演じたロビン・ウィリアムズさんは自殺で亡くなっていた。
いくつかの病気を抱え鬱状態にあったということだ。
鬱だと正常な判断が狂ってしまうことも有りうるので、逃げだの放棄だのと云えるかどうかはわからない。

2018/02/10(土) 23:36:56.30
「奇跡の輝き」で主人公の死後の世界を演じているのに。
自殺した人はどうなるかというストーリーは、あくまで物語と思っていたのか。
あるいは鬱で、そんな出演作のことなど意識に上らなかったか。

※書き込み完了20191231